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「監視社会を展示する」という奇妙なアート展────中国の反体制芸術家アイ・ウェイウェイらがNYで開催

7/19(水) 12:10配信

WIRED.jp

中国の反体制芸術家アイ・ウェイウェイが、監視技術をテーマにした展示会「ヘンゼルとグレーテル」をニューヨークで開催している。普段は目にする機会が少ない監視カメラの存在を肌身で感じられる仕掛けが満載で、展示は「不吉さ」と「面白さ」が同居していたものだった。

不吉さと面白さが同居する「監視される世界」

ニューヨークの街を歩いていると、何十回となくカメラで撮影されることになる。建物や信号機に取りつけられた監視カメラの前を通るからだ。地下鉄のプラットフォームには4,000台以上のカメラが設置されていて、あなたの一挙手一投足が記録される。エレヴェーターやロビー、カフェやコンビニにも監視カメラがあり、警戒の目を光らせている。

米国だけでもおよそ6,200万台もの監視カメラが設置されている。つまり、どんなときでも気づかないうちに、おそらく見張られているということだ。どこへ行こうと、通ったあとに“デジタルのパンくず”を残す私たちは、まるで暗黒郷の「ヘンゼルとグレーテル」だ。

こうした監視カメラを目にすることは少ないし、カメラが気になることもあまりない。しかし、ニューヨークにあるイヴェントスペース「パークアヴェニュー・アーモリー」では、こうした「監視される世界」が公然と展示されている。2017年8月6日(米国時間)まで開催されているこの展示会「ヘンゼルとグレーテル」のために、会場となった洞窟のような「ドリル・ホール」は監視広場に変えられた。

天井には、56台の小型コンピューターに接続された赤外線カメラとプロジェクターが設置されている。頭上では、数台の有線ドローンが飛ぶ音が聞こえる。入場者の映像をライヴ配信しているのだ。

この展示会を主催しているのは、中国の反体制芸術家アイ・ウェイウェイ(艾未未)と、スイスの建築家ユニット「ヘルツォーク&ド・ムーロン」だ(アイ・ウェイウェイは2013年、81日間に及んだ自らの拘禁体験をジオラマで忠実に再現[日本語版記事]したり、2015年のロンドン展覧会のために発注したブロックをレゴが販売拒否したことを非難するキャンペーンを展開[日本語版記事]したりして話題になってきた人物だ)。

入場者が暗い室内を歩き回ると、カメラがその姿を撮影し、幽霊のような像を床の上に映し出す。赤い四角と白い線が投影されたグリッドが、ひとりひとりを枠の中に捉える。位置を正確に把握することができる技術の力を、無言で示しているのだ。

「これは、監視を目に見える形にしたものです」と、ジャック・ヘルツォークは語る。3人のアーティストたちの目的は、双方向の監視状態をつくることだった。日々自分たちを追跡している技術を、自分たちの目で見るべきだ──というコンセプトである。

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最終更新:7/19(水) 12:10
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