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【現役の眼】元日本代表MF、橋本英郎が指南する「巧いボランチの見極め方」

7/19(水) 6:00配信

SOCCER DIGEST Web

3つのゾーンごとで「巧さ」のポイントは違います。

 はじめまして、東京ヴェルディの橋本英郎です。
 
 これから不定期ではありますが、『サッカーダイジェストWeb』のほうで連載をさせていただくことになりました。編集部の方には「好きに書いてください」と言われてまして、とくに連載タイトルはなく、テーマも毎回フリーです。文章はあまり得意ではありませんが、僕なりの言葉で、サッカー観を知ってもらえればと思います。よろしくお願いします。
 
 まず第1回ですが、僕の本職である「ボランチ」について書いてみたいと思います。
 
 スタジアムで観戦する際、みなさんはどんなふうに「良いボランチ」を見定めますか? これはあくまで個人的な見解なんですが、僕なりの見極め方をお伝えしたいと思います。
 
 サッカーではよく、グラウンドを3つのゾーンを分けて考えます。
 
 1つ目は、自分たちのゴールのエリア、点を取られないように守るゾーン。これを『ゾーン1』とします。
 
 2つ目が中盤エリア、真ん中のゾーンを指します。『ゾーン2』。
 
 で、3つ目が相手のゴール前。『ゾーン3』です。
 
 この各ゾーンにおいて、「これができれば巧いボランチ、頭を使っているボランチ」と言えるプレーがあります。それぞれのゾーンごとに分けて、説明したいと思います。
 

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山口蛍選手は1対1の状況を作るのが得意。

 それでは『ゾーン1』から見ていきましょう。
 
 このゾーンでは相手が点を取りに来るため、守備力が求められます。観客として観て分かりやすいのは、球際のところであったり、1対1でボールを持っている選手と対峙した場合、そのボールを奪えるかどうかのプレーになります。
 
 例として挙げるなら、セレッソ大阪の山口蛍選手のプレーが大変分かりやすいと思います。彼はボールホルダーに対して素早くアプローチをし、1対1の状況を作るのが得意で、相手との距離を上手く詰めることによって、ボールを奪いやすくしています。
 
 このゾーンにおける僕なりの名ボランチの定義はこうです。サイドから上がってくるセンタリングに対して、センターバックがクリアできない場合、そこにしっかり対応できているか。あるいはキーパーが取りにくいミドルシュートのコースや、クロスを上げられたくないゾーンを事前に察知して、未然に防ぐ動きができているか。その意識が高い選手が、良質なボランチだと思っています。
 
 簡単に言えば、センタリングが上がってきた際にセンターバックではなくボランチがクリアしている。サイドバックやウイングバックが交わされたあと、クロスを上げられそうになった時にしっかりボランチがブロックしている。そんな時に僕は、「お、いいプレーだな」と感じます。
 
 加えて、ボール奪取したあと、カウンターアタックに移る切り替えのところで、攻撃の起点として1つ目のパスの選択肢を多く持っている、ゴールに直結できるプレーができれば、なお質の高いボランチだと思います。
 
 次に『ゾーン2』。
 
 よくボランチは「ポジショニングが大事だ」と言われますが、そもそも良いポジショニングとはどういうものなのでしょうか。
 
 名ボランチは、攻撃時にサイドや前線に、効果的にボールを散らします。このプレーが得意なのが、ガンバ大阪の遠藤保仁選手。誰が見ても分かりやすいと思います。守備においてボランチに問われる資質は、前線からのプレスを促し、ディフェンスラインと前線との距離感をコンパクトにまとめられるかどうかです。ともに的確なポジショニングがなければ、実現しません。
 
 試合を観ていて、『ゾーン2』のエリアでボールがよく奪えている時。たとえボランチの選手がボールを奪っていなくてもサイドバックやウイングバック、前線の選手が上手くボールが奪えているなら、それはボランチがしっかり仕事をこなしている証です。ボランチの良い声掛け、良いポジショニングがあればこそなのです。
 

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最終更新:8/16(水) 19:01
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