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ついに村上世彰が得た“特等席” 「黒田電気」に送り込んだ人物は

7/19(水) 5:57配信

デイリー新潮

 旧通産省を退官後、村上世彰氏(57)が日本初といわれる敵対的買収を仕掛けてから17年。2002年にアパレルメーカー「東京スタイル」の株を買い占めて失敗したものの、一躍名を馳せることになり、その4年後に証券取引法違反容疑で逮捕された。これで引退したかに思えたが、ついに上場企業の“特等席”を勝ち取ったのだ。

 今年の株主総会の集中日は、6月29日。大阪に本店を置く、電子部品の専門商社「黒田電気」もその日を迎えていた。全国紙の経済部記者によれば、

「村上さんの個人資産を運用する『レノ』は2年前、黒田電気の発行済株式の約16%を買い占めました。その年の8月に開かれた臨時株主総会でレノは村上さんなど4人の社外取締役就任を要求。否決されましたが、その後も黒田電気株を買い増し、レノ名義とは別に村上さんの長女の絢さんが個人筆頭株主になっていました」

 今年の株主総会直前、レノは議決権ベースで37・52%まで引き上げたと公表。社外取締役1人の就任を提案し、賛成多数で可決されたのである。

「株主総会史上、画期的な勝利だと思います」

 こう興奮気味に語るのは、個人株主の1人だ。

「そもそも日本の株主総会では、企業の力が強くて株主提案が可決されることはおろか、議案になることさえ難しい。株主提案が可決されたこと自体が8年ぶりなのです。実は、これまで村上さんも株主提案を3回していたが全敗。黒田電気の株主総会で、レノの提案に賛成した割合は58・64%なので、一般株主もレノの提案を支持した計算になる。村上さんの勝利は、閉鎖的な株主総会を“破壊”した瞬間でした」

 黒田電気の2017年3月期決算を見ると、売上高は前期比19・6%減の2295億円。営業利益は12・6%減の70億円と、大幅な減収減益。つまり、黒田電気の経営悪化で一般株主もレノの主張に耳を貸し、支持したわけだ。

狙いは業界再編

 村上氏が社外取締役候補として白羽の矢を立てたのは安延申(やすのべしん)氏(61)なる人物だが、一体何者なのか。経済産業省の中堅官僚の解説では、

「安延さんはうちのOBで、村上さんの上司だった人。現役時代はIT業界に精通し、“将来の事務次官”と謳われた切れ者でした」

 村上氏が不動産会社「昭栄」に敵対的買収を仕掛けた2000年、安延氏は旧通産省を退官。その後、IT関連会社3社の社長を歴任し、現在は一橋大学ビジネススクールで客員教授を務めている。村上氏を知るファンド関係者がいうには、

「株主総会直前、安延さんは“村上さんから、今年4月に社外取締役候補の打診があった”と明かしています。この時点で、村上さんは株主総会で“勝算あり”と判断していたのでしょう。彼は経営者になりたいわけではなく、根っからの投資家です。2年前は保有株式も少なく、とても村上さんの主張が通る環境ではなかった。社外取締役に自分の名前を入れたのは、パフォーマンスに過ぎません」

 やはり、カネ儲けが最大の関心事なのだ。だが、株主総会日の終値が2313円だった黒田電気株は、7月3日時点で127円も値を下げている。

「電子部品の専門商社は400社以上あり、その多くが売上高3000億円以下。村上さんは黒田電気を業界再編の中心に据えようと目論んでいる。同業他社を吸収すれば企業価値と伴に株価も上がるし、逆に、呑み込まれても高値で売れればいい。それで、上場企業のM&Aを手がけてきた安延さんを社外取締役に送り込んだわけです」(同)

 1600億円といわれる村上氏の個人資産。真の狙いは、長女への“王国”継承だという。

「週刊新潮」2017年7月13日号 掲載

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最終更新:7/20(木) 14:23
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