ここから本文です

新浪剛史の教え#3「ITだけでは仕事は動かない」

7/20(木) 11:00配信

文春オンライン

 三菱商事、ソデックス、ローソン、サントリー……。私は社会人になってからこれまで、商社、外食、小売り、製造業と、さまざまな場所で仕事をしてきました。私がそこで何を考え、なぜ挑戦し続けることができたのか。現在までのキャリアの中から、本当に役立つエッセンスをこれからお話ししたいと思います。

◆ ◆ ◆

モノ消費からコト消費へのシフト

 大量消費社会が到来して以来、モノの価値が下がり続けています。均等に同じようなものを大量につくって、非常にコストは安くなる一方で、差別化できるものが少なくなっています。その結果、消費者はどんどんモノを受け付けなくなっているのです。

 私は、モノ消費からコト消費へと進んでいる要因の一つは、消費というシーンで差別化が進んでいるからではないかと考えています。実際、これだけ消費動向が厳しい中で、そうしたことを理解し、実践している会社は非常に業績がいいわけです。

 例えば、いいレストランというものは、多くのリピーターを持っています。それは、そのレストランに行ったとき、食べ物がおいしい以上に、非常に楽しい体験ができるからです。レストランという場で、トータルで得られる何かがコト消費につながっているのです。

 食べ物がおいしいと感じるだけではなくて、全体で感じたこと、その満足度こそが、消費者を惹きつけるのです。

ヒューマンとITを一致させ、接客力を高める

 私はローソンからサントリーに仕事の場を移していく中で、モノの売り方が変わってきているという印象を持っています。ローソンの社長になったときはまさにデフレの真っ最中で、消費者マインドは非常に冷え込んでいました。そこで私は打開策として、いわゆる接客を徹底的に強くしようとしたのです。

 もし買ったものが一杯のコーヒーでも、店員から渡してもらったときに感じが良ければ、それはいつまでも印象に残っているものです。同じコーヒーでも、渡してくれる人によって印象は変わってきます。それゆえリピーターが増えていく。そうしたヒューマンなところを私は大事にしてきました。

 他方、ITを活用することも忘れませんでした。当時、POSはもう時代遅れだと感じてポイントカードを導入し、CRM(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)を推し進めました。CRMであれば、お客様を特定することができます。だからこそ、繰り返しサービスすることができるのです。お客様との接点は、徹底的にヒューマンにする一方で、見えないところは徹底的にITを活用する。その両方を同時に推し進めることが大事なのです。

1/2ページ

最終更新:7/27(木) 0:09
文春オンライン

記事提供社からのご案内(外部サイト)

世の中を驚かせるスクープから、
毎日の仕事や生活に役立つ話題まで、
"文春"発のニュースサイトです。