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例えば同族経営。日本には“直系家族”組織が合っている

7/20(木) 8:00配信

BEST TIMES

英国のEU離脱など、世界情勢の大きなうねりを読み解いてきた、エマニュエル・トッド理論。じつは日本という国のあり方を考える際にも有効なツールだ。トッドの家族類型では「直系家族」に分類される日本だが、昨今では核家族主義、個人主義の流れもある。どうバランスをとるべきか。新刊『エマニュエル・トッドで読み解く世界史の深層』を上梓した鹿島茂氏に聞く。

アメリカ型のシステムは合わない

  女性の識字率が50%を超えた社会では個人肯定に向かうしかないし、(直系家族への)逆戻りはありえない。家族を基本にしろと言っても無理です。ただし、会社とか団体、組織においては直系家族的なシステムが合っていたのに、あえてアメリカ型の合わないシステムを採用することはないでしょう。この先どんどん個人の解放が進んで完全に核家族になるまでにあと500年かかるかもしれません が、その間は直系家族的なシステムの長所を充分取り入れた組織を構築していくしかないと思います。

 そもそも、バブル崩壊以前は世界の方が「日本に学べ」という姿勢で、平気でレイオフを実行してしまうような仕組みを改めようとしていたんです。バブル崩壊の舵取りをミスしてしまったのが痛かった。

 本当にレイオフも辞さないアメリカ型グローバルスタンダード企業をつくるとしたら、中途半端では無意味で、役人や自治体の仕組みから組成し直さないとダメだと思う。アメリカの小さなタウンというのは、役人は無給で、有志が集う自治会みたいなものなんです。絶対核家族の理念でそういうところから積み上げてきたものを、日本が形だけ真似て取り入れたところで失敗するしかない。

ミシュランは完全直系家族型の会社

 結局は、直系家族的なものの良さを充分認識したうえで、全肯定に陥らず、核家族システムとの折衷型で進めていくしかないと思う。トヨタはある意味、その折衷型がうまくいっていますね。逆に日産は失敗した。そこにカルロス・ゴーンさんが来て持ち直した。

 実はゴーンが最初に勤めたミシュラン(世界有数のタイヤメーカー)は、フランスでは非常に珍しい完全な直系家族型の会社なんです。クレルモン・フェランという中央高地に位置する会社で、社長は代々一族出身です。ここでゴーンは最初、工場の現場から入っていた。超エリートはいきなり社長になるような(核家族型の)パリ盆地型の会社ではありえない。その後彼は、ブラジルでも経験を積んだ。スペイン・ポルトガルの平等主義が輸出されてもっとも原理的に根付いたアナーキーな平等主義家族型の国です。ギャングがすぐに蔓延るような土壌ですね。いろんな家族類型の国を渡り歩いてきたから、ゴーンは適応できたのだと思います。

 

構成:大平誠(ノンフィクションライター) 撮影:高山浩数

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