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「ブランドがメディア化し、メディアがブランド化すべき」:資生堂・執行役員 音部大輔氏

7/20(木) 8:10配信

DIGIDAY[日本版]

広告が力を失いつつあるのではないか、という声を聞くようになった。

日本の広告費の約3分の1を占めるテレビコマーシャルの効果についても、さまざまな議論がある。すでに若者はテレビを観ないという議論もあれば、マス市場に対しては代替手段がない、という事実もある。リアルタイム視聴が減少しても、タイムシフト視聴を加算すれば露出を維持できる。とはいえ、広告をスキップされたら意味がなくなる。

デジタルメディアもさまざまな問題を抱えはじめた。ビューアビリティ、アドフラウド、ブランドセーフティと、よりテクニカルに高度でやっかいな議論がある。広告スキップは消費者に無理強いしないのでブランドにとってはいいことだという正論がありつつ、少しでも露出を高めることが重要だと考える人々もいる。万能の正解はまだない。

大きく変化する購買行動プロセス

「情報量が劇的に増えた。なかでも価値の低い情報が増えたことで、情報の価値の期待値は低下した。いわば情報がコモディティ化した。同時に、情報の寿命も大きく縮んだ。たぶん、人の噂はもう75日ももたない」と、資生堂ジャパン執行役員で『なぜ戦略で差がつくのか。』の著者、音部大輔氏は指摘する。「このような状況においては、ブランドがメディア化して、メディアがブランド化していくのではないか」。

AIDMAやAISASなどの購買行動プロセスが長いあいだ、使われてきた。しかし、必ずしもAttention(A:注意を向ける)のあとにInterest(I:興味)が続くわけはないかもしれない、と音部氏は論じる。

「情報の流通量が少なかった時代は、『Attention』を向けてから『Interest』が沸くということもあった。しかし、情報が溢れると、そもそもInterestがなければ気づいてもらいにくい。IはAと同時か、ひょっとすると前にある」。

従来の広告を補う形で、アドテクノロジーが発達を続けてきた。クッキーやID、検索クエリなどによって捉えられた消費者は、デジタルな空間で広告に追跡される。最新のアドテクノロジーを駆使しながら、露出がAttentionやInterestと同義という前世紀のロジックに則っているのは不思議だ。

広告を観なくなったのは最近のことではなく、そもそも、広告を観てはいなかったかもしれないと、音部氏は続ける。「広告は、『幕間の寸劇』だったのではなかろうか。テレビ広告というフォーマットに則って、丁寧に作られた15秒の動画作品を観ていたのだ。マーケターである我々は広告を観てもらったと考えたが、消費者である我々はエンターテイメントを観ていた。短い動画はほかになかった。雑誌広告もそうだ。美しい写真を楽しむ方法は、雑誌広告以外にあまりなかった。でも、いまは違う」。広告は、もはや「幕間の寸劇」ではない。いままでどおりでは、観てもらう理由を提供できないのだろう。

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