ここから本文です

若さを作るのは「引き算」!?脳科学者・茂木健一郎氏エッセイ

7/20(木) 17:20配信

OurAge

脳科学者、作家、ブロードキャスターの茂木健一郎氏。 「クオリア」(感覚の持つ質感)をキーワードとして脳と心の関係を研究する茂木氏が、オンラインメディアOurAgeで連載中のエッセイ「いつまでも若い脳の作り方」。まず第1回をお届けする。

------------------------------------------------------------

若さとは、引き算のことである。
特に、年を重ねてからの若さは、引き算が基本になる。引き算をすることで、生命をいきいきとよみがえらせることができるのである。

何かを付け加えるよりも、むしろ、取り除いていく。このことの大切さに案外気づいていないケースが多い。

何歳になっても、例えば小学生のような、あるいは花も恥じらうティーンエイジャーのような若さを保つことは可能である。そのためには、人生の引き算をうまくやって行かなければならない。

引き算をすることで、実年齢から何年か分の「澱」のようなものを取り除くことができる。そのことによって、まるで降ったばかりの新雪のような、あるいは芽吹いたばかりの若葉のような、初々しさを保つことができるのである。

引き算とは何か。シンプルになることである。素のままの自分になることである。生きている間に絡みついてしまった、さまざまなしがらみ、思い込み、固定観点から自由になることである。

場合によっては、溜め込んでしまった「毒」を自分の外に出す、「デトックス」も必要になることもある。毒は、それを蓄積してしまうことで世界を見る目が曇り、他人を傷つけ、そしてもちろん自分自身も劣化させてしまう。毒は感情や記憶の回路の奥深くに住み着いているのであるが、うまくそれを意識化して排出することで、その悪い作用から自分自身を守ることができるのである。

自分の中の要らないものを出していく。そして、新しいものが入ってくる「隙間」をつくる。そのことによって、世界に対して新鮮な気持ちで向き合うことができるし、新しい学びも積み重ねることができる。不要なものには関わる必要がない。むしろ、自分にとって大切なものだけに関心を向けていけば良いのである。

自分が好きなものだけを見るようにするのも良い。嫌いなもの、心を乱すものにはできるだけ目を向けないようにする。もし、心をこめ、エネルギーを注ぎ、長い時間をかけて育んでいくべきものがあるならば、そこに注意を向ける。

そのような心の「引き算」をする行為を具体的に積み重ねることで、人は、いつまでも若くいることができるのである。

以上のような「引き算」に基づく若さの維持は、特に脳についてあてはまる。
若さというと、皮膚のツヤや髪のボリュームなど、外見のことを思い浮かべる人が多いだろう。最近はいろいろと良い化粧品やクリームも出ているようで、私は専門外なので詳しくはないけれども、若々しい肌を保つ工夫があるようである。

しかし、「美魔女」を目指して、せっかく肌は20代を保っていても、肝心の脳は120歳相当、というのではもったいない。

肌の若さを保つのは私の専門ではないので、みなさんそれぞれ取り組んでいただくことにして、ここでは、脳の若さを保つ秘訣について、考えていきたい。

最終更新:7/20(木) 17:20
OurAge