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AIはついに資本主義に終止符を打つか? --- 松本 徹三

7/20(木) 15:43配信

アゴラ

先回の記事(http://agora-web.jp/archives/2027106.html)に引き続き、拙著「AIが神になる日」(http://amzn.to/2vEOgap)に関連する記事です。

先回は、その非効率性を常に指摘されながらも、「それよりも良いシステムが見当たらないから」という理由で支持されてきた「民主主義」を代替するものとして、「AIによる哲人政治」の可能性について語りました。

今回は、いよいよその問題点が顕著になってきた「資本主義」を代替するものとして、「AIによってはじめて可能となる共産主義の理想の実現」について語りたいと思います。

当面、資本主義に変わるより良いシステムは生まれそうにない

その起源を遡ると古代にまで至る「商業資本主義」を代替するものとして「産業資本主義」が勃興したのは、蒸気機関の発明などに端を発した技術革新が「産業革命」を惹起したからですが、その「産業資本主義」も、昨今は、主として「情報通信技術」の革新に支えられた新しい形の「サービス産業資本主義」、ないしは「金融資本主義」ともいうべきものに、その主役の座を取って代わられようとしています。

かつて、「資本主義の矛盾」を乗り越えるものとして、世界の期待を一身に集めたのが「社会主義」であり「共産主義」であったのですが、ソビエト・ロシアに主導されたこの雄大な試みは、惨めな失敗に終わりました。

この理由は主として下記の二つによります。

・「自由市場経済」よりもはるかに合理的で、それ故はるかに良い結果をもたらすだろうと思われていた「計画経済」は、「人間は十分なインセンティブがなければ本気で働かない」「人間はその結果を自らが享受できるという保証がなければ創意工夫を行わない」という二つの重要な原則を見落としていた為に、期待を大きく裏切る結果しかもたらすことができなかった。

・プロレタリア階級の代弁者として、誠実にその役割を果たすことが期待されていた革命の指導者は、権力を握った途端に腐敗し、資本主義時代にもなかったような激しい格差をもたらす「閉鎖的な階級社会」を作り上げてしまった。

これに対し、資本主義の方は、マルクスの予想とは異なり、一握りの資本家の野放図な強欲を許すような愚は犯さず、独占禁止法の様な法律を制定したり、公共投資による有効需要の喚起へと動いたり、累進税率を導入したり、社会保障制度を充実させたりすることにより、その問題点をある程度克服してきました。

技術革新による生産力の拡大は、当初はなりふり構わぬ「植民地獲得競争」やその究極の姿である「帝国主義戦争」を引き起こしてきましたが、もはやその時代は終わり、現時点では、後進地域の住民にもある程度の恩恵が分け与えられる「国際的な自由競争」をベースとする「グローバル経済体制」が基軸となるに至っています。

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最終更新:7/20(木) 15:43
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