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「投資信託」5つの間違った常識と、本当にお金が増える6つの条件

7/20(木) 7:00配信

Book Bang

日本国内に約6000以上の商品が存在する投資信託。投資信託は「最強の資産形成ツール」と言われているが、その商品数の多さと内容の複雑さから、資産形成に本当に活用できている人は少ないのが実態だ。世界の第一線で活躍する楽天証券ファンドアナリストで、『本当にお金が増える投資信託は、この10本です。』の著者・篠田尚子さんによると、投資信託について世間では常識だと信じられていることの中には、間違っていることが多数あるという。今回は、その中から投資信託に関する5つの誤解について、篠田尚子さんに語っていただいた。

1)「年代別のオススメ投資信託」を鵜呑みにしない

 投資信託の選び方について紹介している記事の多くは、「20代は投資期間がもっとも長いので、大きなリスクがとれる」、反対に「60代は投資期間が短いので、リスクを小さくする」というように、「投資期間の長さ」を判断基準にして商品を選び、年代別の提案をしています。

 私自身も、過去に依頼を受けた資産形成セミナーで「年代別のオススメ商品」について言及したり、新聞の記事で執筆したりしたことがあるのですが、年代別に商品をオススメすることにずっと違和感を抱いていました。

 なぜなら、現代の投資理論では「年代別のオススメ商品」は存在しないからです。

 現代の投資理論では、「投資する期間」は金融商品の選択に大きな影響は及ぼさないとされています。年代別に商品をオススメする記事は、「リスクの大きい商品を買っても、投資期間を長くすればリスクを小さくできる」という考え方に基づいて書かれていると推測されますが、「投資する期間」によって商品自体のリスクの大きさが変化することはありません。

 30代の人にとって「優れた商品」であるならば、それは60代の人にとっても「優れた商品」になります。年齢によって、「優れた商品」が異なることはないのです。

 優先すべきは、「本当に優れた投資信託」を探すことです。

 その次に、自分の年齢や資産状況、投資経験、性格などを考慮して、「本当に優れた投資信託」の中から最適な商品を購入するのが正しい手順といえます。

 こうした手順をわかった上で年代別に商品を推奨する記事を参考にするのはよいのですが、現実は、多くの方が間違った優先順位で商品を選択してしまっているのではないでしょうか。

 「本当に優れた投資信託」は、本来、購入者の年齢・年代とは切り離されて語られるべきであるということを頭に入れておいてください。

2)「人気ランキング」は「買ってはいけない商品」ばかり

 「売れている投資信託」が「優れている投資信託」であるとは限りません。現に、「投資信託の人気ランキング(売上ランキング)」には、「毎月分配型」のように問題のある商品が含まれていることが多いのです。

 長期投資を前提にすると、運用で得られた利益は新たな運用に回すのが望ましいといえます。また、利益から出される分配金には税金がかかるので、税金の徴収が前倒しになってしまう点も、毎月分配型のデメリットです。さらに、分配金の送金にかかる経費や、分配金の支払いのたびにおこなわれる運用会社の決算の費用もバカになりません。(こうした経費は、当然、購入する側の手数料などに上乗せされています)。

 このように、人気ランキングは、問題の多い毎月分配型の商品ばかりがランクインされているので、あまり参考にしてはいけないのです。

 ただし、こうした批判は、以前から存在しています。これまでに新聞やマネー誌、ネット上の記事などで、多くの専門家によって毎月分配型商品の批判がされてきましたが、それをまったく無視するかのように、毎月分配型は売れ続けているのです。

 人気ランキングは、金融機関の“販売力”が反映される傾向にあるので、金融機関の販売窓口でいまだに毎月分配型の商品が積極的に勧められているということも影響していると思われます。

3)「値上がりした商品」が「優れた商品」とは限らない

 商品の値上がり率の高さだけを判断基準にして、投資信託を購入することも避けるべきです。投資信託の場合、「商品の値動き」と「運用の優劣」が、かならずしも一致しているわけではないからです。

 例えば、日経平均株価に連動するインデックス型の場合、日経平均株価が上昇すれば投資信託の価格である基準価額も値上がりします。反対に、日経平均株価が値下がりすれば基準価額も値下がりをします。

 その値動きに、運用担当者(ファンドマネージャー)の腕は関係がありません。

 日経平均株価に連動するタイプの商品が運用成績ランキングの上位にランクインしている場合、それは「その期間、日経平均株価が値上がりした」という事実を表しているにすぎないのです。

4)新商品は買ってはいけない

 投資信託は、毎年のように多くの新商品(新規設定)が発売されています。2016年は、595本(出所:社団法人投資信託協会)が新商品として発売されました。

 発売当初から円滑な運用をするには、なるべく多くの資金を集めなければなりませんので、設定前に設けられる募集期間中、金融機関は積極的にセールスをおこないます。

 キレイなパンフレットがつくられ、雑誌や新聞などで宣伝されることもあるでしょう。金融機関の窓口では、スタッフが熱を帯びた口調で新商品を勧めます。

 しかし、そんな雰囲気に流されるようにして新商品を購入するのは避けたいところです。

 家電製品であれば、性能がアップしていたり、新機能が付いていたりと、新商品が有力な選択肢になる場合が多いかもしれません。ですが、投資信託に関しては、「新しい商品のほうがよい」という考え方が当てはまらないのです。

 まず、新商品の問題点として、不十分な運用実績データが挙げられます。発売されたばかりなので、当然、運用の実績は乏しく、実際にどれくらいの資金をどのような金融商品に投資しているかといった、重要な情報が不足しています。

 次に、資金が安定しないという点も問題です。前述のように、金融機関が販売に力を入れるので、新商品には多くの資金が集まります。その資金がすべて長期投資を前提として集まっているのであれば何の問題もありませんが、短期で引きあげられる資金も集まってしまうのです。解約が続出し、短期で引きあげられるお金が増えると、運用資金がどんどん減少してしまい、商品の運用に支障をきたす可能性もあります。

 運用で結果を出すためには、なんといっても安定した資金の存在が不可欠です。したがって、購入する側は、その商品の資金の出入りが安定するまで“待つ”ことが大事になります。資金が安定するには、ある程度の時間が必要になるので、発売開始から少なくとも3年以上経過していない商品は買うべきかどうかの正しい判断ができないと私は考えています。

5)複利は存在しない

 新聞や雑誌の記事などで、「投資信託を100万円購入して毎年10%で運用すれば、“複利効果”で20年後に約670万円になる」といった内容の説明を読んだことはないでしょうか。こういった説明には、じつは大きな“誤り”があります。

 このような内容の記事では、「複利効果」という言葉を「投資信託の値上がり益や配当・利息といった収益をその投資信託に再投資することで、さらに大きな利益が得られる」という意味で使われていることが多いように思います。要は、「収益が収益を生む効果」ということです。

 一見、もっともらしく聞こえますが、そもそも「複利」は、投資信託に当てはまらない考え方です。

 「複利」とは、本来、投資で得られた収益を投資元本に加えて再投資して得られる利回りのことを指します。元本が保証されており、あらかじめ利回りが決定しているという前提がある金融商品に適用される言葉です。

 具体的にいうと、銀行やゆうちょ銀行の預貯金などになります。投資信託のように元本が保証されておらず、利回りも定まっていない金融商品に、「複利」という概念を用いることはできません。実際にお金をこのように増やせると読み手の方に思わせるために、「複利効果」という言葉を使って投資信託を説明していると推測されます。

 しかし、冒頭の文章のような「複利効果」は、実際の投資信託の運用の姿に照らし合わせると非常に“もろい”ものです。1年でもマイナスの収益になる年が出てしまうと、とたんに運用成績は悪化してしまうのです。

 このように、複利と複利効果という言葉は、表現は非常に似ていますが中身はまったく異なります。注意していなければ同じものだと受け取ってしまいかねません。また、そうした誤解を“狙っている”と考えられるところが重大です。元本が保証され、毎年確実に利回りが得られるという金融商品は預貯金だけなのです。

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最終更新:7/20(木) 7:00
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