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韓国の「村上春樹旋風」と「東野圭吾人気」に見る時代の変化

7/21(金) 11:00配信

文春オンライン

『騎士団長殺し』発売でお祭り騒ぎの韓国

 7月12日、韓国で“村上春樹祭り”が幕を開けた。

 4年ぶりの新作、7年ぶりの長編『騎士団長殺し』(2巻組で3万2600ウォン=約3250円)の韓国語版の話だ。

 世界各国にファンを持つ「村上春樹熱」は韓国でもアツい。

 ファンクラブはもちろん、作品に登場する料理を再現する集まりなどもある。

 2009年から2010年にかけて3巻組で発売された『1Q84』韓国語版は合わせておよそ200万部が売れたという。

『騎士団長殺し』(版元「文学トンネ」)も6月30日にネット等での先行予約が始まると、『1Q84』の4倍近い注文が入り、たちまちベストセラー1位となった。発売前からすでに合わせて30万部が刷られ、売り上げをどこまで伸ばすかに注目が集まっている。ちなみに韓国では1万部ほどが売れればヒット作品といわれる。

 ネットの先行予約では各社、サイン本やブックケースをつけたり、『騎士団長殺し』のほかに3万ウォン(約2990円)以上を購入すれば村上春樹とハングル表記されたキーホルダーや傘のおまけもつけるなど、あの手この手の商売合戦を繰り広げていた。

 韓国メディアも、「村上春樹新作『騎士団長殺し』すでに突風の予感」(朝鮮日報7月13日)「ハルキのゲームが始まった」(ソウル新聞、同)と大々的に報道し、「ハルキの日本現代史批判、アナタの評価は?」(ハンギョレ新聞、同11日)や「南京大虐殺抱いたハルキアドベンチャー、ノーベル賞狙いか」(中央日報、同15日)と本書の南京大虐殺に関する記述を取り上げたメディアも目立った。

韓国でもっとも読まれている日本のミステリー

 こうして新作が出るたびに韓国でもお祭り騒ぎとなる村上春樹人気だが、韓国で人気の日本人作家がもうひとりいる。

 東野圭吾だ。

 東野圭吾の作品は2000年代に入ってから続々と翻訳され、ここ数年その版権を巡る各社の争奪戦も熾烈になっていると大手書店関係者が言う。

「村上春樹先生の作品は熱狂的なファンがいて、新作が出ると花火のようにわっと盛り上がりますが、ここ数年、韓国でもっとも読まれている日本の作家は東野圭吾先生です。

 韓国では本といえば『純文学』で、ミステリーものはどこか下に見られていて、ミステリー作家があまり育たなかった。それがインターネットによってさまざまな分野の情報が提供されるようになって読者が望むものも細分化されました。そこへ登場したのが日本の上質なミステリーで、ここ10年ほどであっという間に人気になりました。なかでも東野先生の作品はミステリーでありながらSF的でも、また神秘的でもあり、なにより人情味が感じられるところに読者が惹かれるようです。

 東野圭吾先生の作品は、海外作家のベストセラー10に常に2、3冊入るほどの人気で、5年前に出版された『ナミヤ雑貨店の奇蹟』はロングセラーになっています」

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最終更新:7/21(金) 16:51
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