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リニア新幹線工事で早くも住民被害 「不誠実で無知なJR東海」

7/21(金) 11:26配信

週刊金曜日

 JR東海が進めるリニア中央新幹線の工事認可取り消しを求め、沿線住民らが国を相手取って起こした行政訴訟の第5回口頭弁論が6月23日、東京地裁で開かれた。

 今年4月、南アルプストンネルの掘削が始まった長野県大鹿村の住民で原告の谷口昇さん(47歳)が意見陳述し、まだ工事が本格化していないにも拘わらず生活に支障を来している実情を報告した。

 谷口さんの住む釜沢地区は、大鹿村の最奥部、3000メートル級の南アルプスの山々の最も近くにある。すぐ近くにトンネル掘削口となる二つの非常口が計画されているリニア工事の最前線だ。

 地区の自治会長を務める谷口さんは意見陳述で、生活水源近くに掘られる非常口の影響を心配する住民らに対し、JR東海の担当者が「(掘削で)水が抜けて、いったい誰が損害を受けるんですか」と言い放った説明会の様子を証言。

 1日最大1736台(後に1350台に修正)通行する工事車両や行き先の決まらない残土、「日本で最も美しい村」連合に加盟する村の景観を損ねる送電鉄塔など、さまざまな問題を置き去りにして突き進むJR東海の姿勢に不信感を募らせた経緯を説明したうえで、「不誠実で無知なJR東海にこの巨大な自然環境破壊事業を任せてよいのでしょうか」と訴えた。

 釜沢地区と村中心部を結ぶ狭く曲がりくねった県道では、すでにトラブルが起こっている。県道の拡幅工事が済むまで工事車両を通さないでほしいという住民の要望が聞き入れられないまま非常口工事が始まってしまい、大型車両が小一時間、立ち往生したことも。通勤時間帯に28台もの工事関係者の車が連なってきたため、遅刻しそうになった住民もいるという。

 裁判後の記者会見で谷口さんは「JR東海も国も『理解してください』と言うが、僕らには『我慢してください』にしか聞こえない」と苦しい胸の内を明かした。

(井澤宏明・ジャーナリスト、7月7日号)

最終更新:7/21(金) 11:26
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