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「寺島しのぶ」舞台が即中止 「中嶋しゅう」を襲った急性大動脈解離

7/21(金) 5:57配信

デイリー新潮

 皮肉な結果というほかあるまい。悲劇の家族を描いた舞台の公演中、出演者の中嶋しゅうさん(享年69)が、突然の病に襲われ、帰らぬ人となってしまった。健康だった彼を一転、悲劇へと招いたのは、突然死につながる隠れた病巣だった。

 ***

 その悲劇は、7月6日、寺島しのぶ主演「アザー・デザート・シティーズ」の初日公演でのことだった。

 舞台関係者が振り返る。

「上演開始から約1時間が経ち、寺島さんと中嶋さんが口論する場面でした。座ってセリフを言っていた中嶋さんが立ち上がったところ、フラフラとしたのです。めまいでも起こしたかと思ったら、舞台から客席側へと転落してしまった」

 高さは、わずか75センチ。すぐに上がれそうなものだが、

「寺島さんが、舞台上から、役名で呼びかけても反応はありませんでした。すぐに彼女がスタッフに腕でバツ印を出し、緊急事態であることを知らせたのです」

 公演は即中止。会場には医者を探すアナウンスが入り、心臓マッサージやAEDが施された。彼は約15分後に病院へと搬送されたが、約2時間後、息を引き取ってしまったのである。

 舞台やテレビのほか、「影武者」などの黒澤明監督作品にも出演したベテラン俳優の中嶋さん。舞台の上で亡くなったという点では、役者冥利に尽きるのかも知れないが、彼を死に追いやったのは、急性大動脈解離という名の病だった。

 河村循環器病クリニックの河村剛史院長が解説する。

「大動脈は、内膜、中膜、外膜の三層構造で出来ていて、大動脈解離は一番内側の内膜が剥がれ内膜と中膜の間に血液が入り込むことで始まります。解離が起きると、激痛が伴うと言われているのです」

生存率は5%

 この痛みを経験したタレントの大木凡人氏は、

「突然、身体中にビリビリビリと引き裂かれるような痛みが走り、叫ばずにはいられませんでした。確実に人生で一番の痛さだった」

 と言うが、それでも手術をして生還している。中嶋さんとの違いは何か。

「解離が心臓に近い場所から起きると“A型”、遠くで起きるのを“B型”と言います。A型で、なおかつ、外膜まで破れてしまうと心臓を包んでいる心嚢膜の中に血液が流れ込み、心臓を圧迫。心臓はすぐに止まってしまうのです。搬送されても生存率は5%いくかどうか」(河村循環器病クリニックの河村剛史院長)

 中嶋さんの場合、解離の幅が大きく、大量の出血が、心臓を圧迫した「A型」だったと考えられる。

 もっとも、特に持病はなく、昨年末の健康診断でも問題はなかったというが、

「急に内膜に亀裂が入る人もいますし、多いのは動脈硬化や高血圧の人です。まず、内膜が破れる前に、血管の硬化や老化によって、大動脈の壁に小さな血腫が出来ます。さらに血管が異常な圧迫を受けると内膜から順番に破れていく。胸や背中の痛みなどの症状があったら、すぐに病院に行くべきです。私は中嶋さんにも必ず予兆があったと思いますが、きっと、我慢してしまったのでしょう」(同)

 CTやMRIを撮るのが隠れた病巣の早期発見に有効。悲劇に見舞われないためには、日々の心掛けが大切だ。

「週刊新潮」2017年7月20日文月増大号 掲載

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最終更新:7/21(金) 12:30
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