ここから本文です

日本には、“省エネ”バレーが必要だ。中田監督が新鍋理沙に託した役割。

7/21(金) 11:01配信

Number Web

 北京、ロンドン五輪金メダル王者から6年ぶりに挙げた白星。7月16日、カメイアリーナ仙台で開催されたワールドグランプリで、日本はフルセットの末にブラジルを破り、2勝1敗で仙台大会を終えた。

 「2セット先取してからのフルセットですが、結果が出てよかったです」

 全日本女子の中田久美監督は穏やかな表情で語ったが、満足にはほど遠かった。試合内容を振り返るにつれ、課題が口をついた。

 「ラリーが続いた時に、攻撃がレフトだけになってしまうのがきつい。ラリーの中でもミドルブロッカーや、あるいはバックアタックで切れないといけないし、そのためには1本目のコントロールがもっと必要。サイドアウト(相手にサーブ権がある時の攻撃)にしても、レセプション(サーブレシーブ)がちゃんと返っても決定率が4割を超えていないので、そこは継続して強化していきたいと思います」

サイドアウトにこだわる理由は“省エネ”から。

 中田監督はチーム始動時から、「レセプションアタックの決定率を徹底的に強化したい」と語っていた。レセプションアタック、つまりサイドアウトにこだわる理由は“省エネ”にある。

 以前、中田監督はこんな話をしていた。

 「日本人が外国人選手とやる時って、ものすごく体力を消耗する。日本人同士でやる国内の試合とはまったく違う。それは(久光製薬の監督として)世界クラブ選手権を戦った時にもすごく感じました」

一番は「レセプションアタックでブロックアウト」。

 ネットから簡単に手が出る海外の大型選手と違い、小柄な日本人選手は、高さのある海外チームと対戦する時にはスパイクもブロックも常にフルジャンプしなければならないし、国内なら決まるスパイクも、高いブロックに阻まれる。だからフィジカル強化はもちろん、戦い方にも工夫がいると考える。

 「だから私はサイドアウトにこだわるわけです。とにかく1本で切ろうと。そうすれば体力を消耗しにくいから。

 省エネだし、相手にとって一番嫌なことといったら、レセプションアタックでブロックアウトされること。その技術が本当にあったら、日本はどことやっても競り合いには持ち込める。あとはブレイク(自チームにサーブ権がある時の得点)を取ること。そのためにサーブをぶちこむ。

 省エネで試合を進めるには、とにかく技術を身につけなきゃいけない。サーブの技術やあらゆるプレーの確実性、ムダのない動き、スピードを追求しなきゃいけない。コンマの世界では、ちょっとのズレが大きなズレになるから。

 ただ、速いバレーを求めるとどうしても(スパイカーが)ヒットする場所が低くなるけど、そうじゃない。トスが何秒という速さじゃなくて、セッターが高い場所で離して、高いところでスパイカーに打たせる。これが一番速いバレー。それを間違えちゃダメ。そのためにも、1本目のところでちゃんと間(ま)を作ること。そうすれば周りの準備は絶対にできるので、速くもなんとも感じないはずです」

1/3ページ

最終更新:7/21(金) 15:01
Number Web

記事提供社からのご案内(外部サイト)

Sports Graphic Number

文藝春秋

933号
8月9日発売

定価590円(税込)

甲子園ライバル伝説。

田中将大/ダルビッシュ有/筒香嘉智/大谷翔平/松井秀喜/清原和博
47都道府県ライバル対決