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竹内涼真の演技を「ステレオ鑑賞」できるという至福 

7/22(土) 16:00配信

NEWS ポストセブン

 今、最も旬な役者は誰か。おのおの見解は分かれるところだろうが、ドラマウォッチを続ける作家で五感生活研究所代表の山下柚実氏が今期の注目作に言及した。

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 この夏のドラマを最高に楽しむ私なりの方法とは……今ダントツ注目を集める俳優を、「ステレオ」方式で味わう、という鑑賞法です。

「ステレオ」は言わずと知れた、ツースピーカー。左右2つのスピーカーからそれぞれ音が出てくるからこそ、モノラルに比べてぐっと臨場感が増すことは、みなさん実感されているはず。

 では、なぜステレオ再生だと臨場感が増すかといえば……?

 左の耳と右の耳から飛び込んでくる音は、角度や音量、質などが違う。その微妙な「違い」を感知することによって、音がより立体的にリアルに感じとれるわけです。

 さて、2017年の夏は、ある俳優の演技を「ステレオ」方式で堪能できる貴重なチャンス。

『ひよっこ』(NHK朝ドラ)で、ヒロイン・みね子(有村架純)の恋人になった島谷純一郎は佐賀県の資産家のご子息、慶應大学生という設定。優等生的まったり感が漂う。ガツガツせず、余裕のあるお坊ちゃんタイプ。

 一方、『過保護のカホコ』(日本テレビ系、水曜午後10時)でヒロイン・加穂子(高畑充希)の相手役・麦野初は、淡泊でラフ、無駄が嫌いな現代っ子。ズバズバっとした物言いの芸術系大学生。「親から自立する気があるのかよ?」「お前みたいな過保護がいるから日本がダメになるんだよ!」と、加穂子に向かってゾンザイな口調でグサグサ本質に斬り込む。

 両方とも、大学生の役。なのに、2人の男子の違いを1人の俳優がぴしっと演じ分けている。島谷は、静かに語る。上品に座る。ゆっくり動く。麦野は、大声で語る。手足を大きく動かす。スピード感がある。

 それを「ステレオ」方式で鑑賞するという至福。そう、二つの人間像が重なるところに、「竹内涼真」という存在が立体的に立ち上がってくるのです。

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