ここから本文です

コミュニケーションで日本の医療現場を変える:第4回 チーム医療を成功に導く鍵とは

7/22(土) 9:10配信

コーチ・エィ

国内でも急速に増え続ける糖尿病患者。生活習慣病である糖尿病の診療には、チーム医療や患者さんと医療者とのコミュニケーションが重要な要素です。糖尿病診療現場でのチーム医療とは?コーチングを活かしたコミュニケーションの活性化とは?医療従事者の人材育成とは?現在、千葉大学病院総合医療教育研修センターで教育専任医師としても活躍されている、横尾英孝先生にお話をうかがいました。

第1回 「全身を診るために」選んだ糖尿病というフィールド
第2回 糖尿病の診療のために、チーム医療に取り組む
第3回 コーチングを取り入れたチーム医療とは
第4回 チーム医療を成功に導く鍵とは
第5回 医師の人材開発
第6回 コミュニケーションは一つの専門技術

第4回 チーム医療を成功に導く鍵とは

コーチングの取組みに後押しされて成果が出てきたチーム医療。成功させるための鍵はどこにあるのでしょうか。そのポイントを伺いました。

チームの成長に向けて、どのような取り組みをしているか

---- 糖尿病という診療科の中で、チームとして共有したテーマはあったのでしょうか。

横尾) 「この地域の糖尿病をよくする」という共通の目的をメンバー全員で共有しました。また、「そのために、私たちには何ができるか」という問いも、共有するようにしました。この問いは、何かあるごとにメンバーの前で口にしていたと思います。

---- メンバーにコーチングをする際に、「チームとして成長する」という観点で意識されていたことはありますか?

横尾) 最初は「私に何ができるのでしょうか」、「糖尿病に興味はあるが、何をしたらいいかがよくわからない」と戸惑っていた方が多かったです。そこで、コーチングの時間を使ってメンバー一人ひとりの得意なことや、興味のあることを引き出していって、それに合った仕事に取り組んでもらうようにしました。そしてその仕事が、地域の糖尿病をよくすることにつながっていくのだということを意識してもらうようにもしました。ゼロからのスタートだったので、最初はある程度こちらからアイディアや指示を出して割り振っていたのですが、段々自分で考えて、自分が望むことをやってもらうようにしていきました。

---- コーチングを受けた方々はとても喜んでいらしたということですが、関わる上での難しさというのはなかったのでしょうか。

横尾) そうですね。大きい病院なので、部署は比較的縦割りでそれぞれに細かいルールがあったりして、勤務時間中のコーチングがあまり好ましく思われなかったこともありました。なので、個室を用意したり時間外に実施したりといった工夫をしていました。他には、「私もコーチしてほしい」という人がどんどん出てきて自分の業務に支障が出そうになったり、コーチング期間が終了するときに「もっと続けてほしい」と残念がられたりと・・・。嬉しい悲鳴ですね(笑)

---- チーム医療を機能させるために、一番重要なことはどんなことだと思われますか。

横尾 治療に関わる医療スタッフは、どの職種であっても専門職なので、みんな対等な立場だと思うのです。日本は医師の権限が強く、医師の指示がないと他の職種は自己判断で動いてはならないような制度や風潮がありますが、海外では違います。他の職種の権限がもっと大きくて、各自の判断でインスリンの量を調整したり栄養指導を継続したりしています。各職種の立場が対等である方が、働く人たちのモチベーションも上がるし、患者さんへもいい影響が出ると思います。なのでお互いを尊重し、なるべく対等な立場で接することが一番大事だと思います。

---- 「医療者はみんな対等な立場である」という意識をもったお医者さんは増えているのでしょうか。

横尾) 増えてきていると思います。ただ、完全にトップダウンの医局や診療体制でずっと働いていると、それが当たり前だと感じてしまうこともあるでしょう。でも、今は医師の業務が膨大になりすぎていて、医師だけで診療を回すのが困難になってきています。

---- 先ほど、全ての人が対等であることがすごく重要だというお話がありましたが、他にチーム医療を成功させるうえで重要な要素はありますか。

横尾) 医師自らが意識を変え動くこと。それから、「継続した取り組み」でしょうか。1ヶ月だけ必死で動いてもその後活動をやめるとすぐに終息してしまいます。また、人事などで人が入れ替わると、その時点で活動が失速してしまう可能性があります。なので、チーム医療の土台作りをしつつそれが継続していく環境を整えることが重要です。その上で、次の世代の人材育成にも力を入れなければなりません。医師に限らず、若手の医療職の育成です。そこにずっと残って、定年まで働いてくれるような人たちを根づかせることも大事ですね。最終的には、専門医がいなくても活発なチーム医療が展開できるような体制を目指していければよいと思います。

1/2ページ

最終更新:7/22(土) 9:10
コーチ・エィ

記事提供社からのご案内(外部サイト)

Hello, Coaching!

株式会社コーチ・エィ

組織やチームを率いるリーダーに、コーチングをはじめ、リーダーシップやマネジメントに関する価値ある情報を提供していくサイト