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ベトナムに近づく韓国サッカー界。Kリーグオールスター遠征…スター選手が架け橋に

7/22(土) 10:02配信

フットボールチャンネル

 昨年は日本のJリーグとの交流が目立ったベトナムサッカー界だが、今年になって隣国・韓国との関係を強化し始めている。韓越国交樹立25周年を迎え、ベトナムからスター選手のKリーグ移籍したり、U-22ベトナム代表とKリーグオールスターの親善試合が企画されたり、急速に関係を深めている。積極的に交流を進める両国の意図とはどんなものなのだろうか。(取材・文:宇佐美淳)

●日本から韓国へ。変わりゆくベトナムのサッカー交流

 2016年は、ベトナムの若きスターであるグエン・コン・フオン(元水戸)とグエン・トゥアン・アイン(元横浜FC)がJ2リーグに期限付き移籍を果たしたほか、ガンバ大阪とPVFアカデミー(PVF=ベトナムサッカー選手才能開発投資ファンド)が業務提携を結んで指導者派遣を行うなど、日本とベトナムのサッカー交流が特に活発な1年だった。

 しかし、前述の両選手はすでにベトナムの所属元に復帰。今年に入って、Jリーグの“アジア戦略”が、本命ともいえる“東南アジアの雄”タイにシフトしたこともあり、日本とベトナムのサッカー交流は昨年ほど目立つものではなくなった。そんな中、協力関係を強めているのが、今年でベトナムとの国交樹立25周年を迎える韓国だ。

 実は昨年、コン・フオンやトゥアン・アインが日本に上陸したのと時を同じくして、もう1人のスター選手、ルオン・スアン・チュオンがKリーグクラシック(韓国1部)の仁川ユナイテッドに期限付き移籍していた。

 この3人は、いずれもベトナム国内で圧倒的人気を誇るホアン・アイン・ザライ(HAGL)の中心選手で、“黄金世代”と謳われた3年前のU-19ベトナム代表でも主力として活躍。スアン・チュオンは、HAGLでプロデビューを飾った2015シーズンに、弱冠20歳にしてトップチームのキャプテンを任されていた。3人のうちA代表でレギュラーを確固たるものにしているのは、現時点でスアン・チュオンだけだ。

 韓国も日本と同様に“アジア戦略”を推進しており、人材や経済分野での交流が盛んなベトナム市場の開拓を急いでいる。因みに2016年時点で、在ベトナム韓国人は約14万人、在韓国ベトナム人は約13万7000人にのぼり、この数は年々増加傾向にある。

●ベトナムのスターが韓越交流の架け橋に。Kリーグも歩み寄る

 同年末時点における韓国の対ベトナム直接投資(FDI)は、累計500億米ドル(約5兆5000億円)を突破。ベトナムのスター選手であるスアン・チュオンには韓越交流の架け橋となることが期待されており、同選手は現在、韓国企業のベトナムにおけるイメージキャラクターや地方自治体の親善大使を務めている。

 昨季、熾烈な残留争いを演じた仁川ユナイテッドでレギュラー争いに敗れて、今季から同じくKリーグクラシックの江原FCに移籍したスアン・チュオン。今年もなかなか出場機会はめぐってこないが、リザーブリーグでは順調に結果を残し、先日ついに移籍後Kリーグ初出場を飾った。

 依然として戦術理解やフィジカル、連携面での課題が残り、持ち前のパスセンスを発揮するにはまだまだ時間がかかりそうだが、これらの問題が解消されればチームに不足している攻撃のエッセンスを補う存在となる可能性もある。

 スアン・チュオンが所属する江原FCは今年6月にベトナム遠征を実施し、ホーチミン市選抜と親善試合を開催した。7月末には、KリーグオールスターとU-22ベトナム代表の親善試合、8月初旬にはU-22ベトナム代表の韓国遠征も計画されている。

 Kリーグオールスターの監督は、かつてC大阪や柏レイソルで活躍したファン・ソンフォン氏。メンバーには、イ・グノ(元磐田、G大阪)やキム・ジンス(元新潟)などJリーグ経験者も含まれ、かなり豪華な顔ぶれとなっている。

 スアン・チュオンもU-22ベトナム代表の一員として出場予定。親善目的とはいえ、今回の母国凱旋で武者修行の成果を見せたいところ。韓国では現在、スアン・チュオンのほかにも4部リーグの議政府FCでDFグエン・フー・アイン・タイ(HAGLから期限付き移籍)がプレーしており、複数のクラブがベトナム人選手に熱視線を注いでいると言われている。

(取材・文:宇佐美淳)

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