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亀を救った浦島太郎はなぜ不幸になったか

7/22(土) 9:10配信

日経BizGate

「機会費用」から幸不幸をとらえる

 童謡や長唄にまでなっている浦島太郎の物語は、誰もが一度は聞いたことのある話だろう。ただし、昔話や民話にはこれに似た話が数多くあり、しかも話の筋は共通ではない。まずは念のために、最も標準的と思われる型の大筋を確認しておきたい。

 現在の京都府北部にある丹後で漁師を営む浦島太郎は、毎日熱心に漁をして父母を養っていた。ある日、往来で小さな亀の子をいじめる子供たちに出会った太郎は、小銭を出して子供たちから亀を買い取り、海に放してやった。

 それから数日後、太郎がいつものように海に出て漁をしていると、助けた亀が現れて、お礼に竜宮に連れていきたいという。太郎は半信半疑であったが、話のたねにと亀の背中に乗ると、亀は本当に太郎を連れて海に潜り竜宮へ向かった。竜宮に着くと乙姫様に迎えられ、亀を助けたお礼にと、絢爛豪華な竜宮で手厚くもてなされた。

 竜宮の楽しさは、太郎の想像をはるかに超えるものだった。お礼の大宴会は毎日続いたが、予想もつかない珍しい趣向が次々となされて飽きることがない。一日の宴会が終わっても、すぐに翌日の宴会を心待ちにして、太郎は毎日を過ごしていった。

 それでも3年たったときに、太郎は故郷の夢を見るようになった。さて父母はどうしたのだろうと思うと心配になり、ついに宴会も楽しめなくなってしまった。その様子を察した乙姫は、きれいな玉手箱を太郎に渡し、この中には人の世界で生きていくために必要なものが入っているが、もし竜宮に戻ってきたいのならば絶対に開けてはならないと念を押してから、太郎を故郷へと送り返した。

 戻ってみると様子がおかしい。家はなくなっているし、父母はおろか、自分の知っている者が誰もいない。300年前に、浦島太郎という人が海に出たきり帰らず、竜宮にでも行ったのだろうということになった。そのような伝説があると聞いた太郎は、自分が3年間と思っていたのは実は人間世界では300年だったことを悟る。

 これでは人間世界にとどまっていても仕方がない。それで太郎は竜宮に戻りたくなったのだが、どうしてよいかわからない。頼れるものは玉手箱しかなかったので、ついつい玉手箱を開けてしまった。すると、太郎はあっというまによぼよぼのお爺さんになり、乙姫様の言葉の意味を知ったのであった。

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最終更新:7/22(土) 9:10
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