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米国のエネルギー支配は実現するか? --- GEPR

7/22(土) 16:19配信

アゴラ

(有馬純 東京大学公共政策大学院教授)

6月29日のエネルギー支配(American Energy Dominance)演説

6月29日、トランプ大統領はエネルギー省における「米国のエネルギーを束縛から解き放つ(Unleashing American Energy)」とのイベントで演説を行い、「米国は無限に近いエネルギー資源を有しており、これを活用して長年追求してきた米国のエネルギー独立(American energy independence)のみならず、米国のエネルギー支配(American energy dominance)を目指す。米国のエネルギーを世界中に輸出することにより、雇用を創出すると共に、米国の友好国、パートナー国、同盟国のエネルギー安全保障を確保する。そのためにはエネルギー開発が不可欠であり、過去8年、米国のエネルギー開発を阻害してきた規制を除去し、インフラ開発を進める」と表明した。そして「米国のエネルギー支配の新たな時代」を実現するために6つのイニシアティブを発表した。

・原子力セクターを復活させ、拡大するために米国の原子力政策の包括的レビューを行う
・財務省は高効率石炭火力の海外展開への融資に対する障壁を取り除く
・メキシコへの新たな石油パイプライン建設を許可する
・センプラ・エナジーによる韓国への米国産天然ガスの販売交渉を開始する。
・エネルギー省はレイク・チャールズLNGターミナルからの2件の天然ガス長期輸出案件を許可する
・前政権が開発を禁止してきたオフショアの連邦所有地におけるエネルギー開発を開放する

この演説で注目されるのは「エネルギー支配」という概念である。エネルギー自給率を高め、他国がエネルギーを経済的武器として使うことによる地政学的リスクから米国を守るという「エネルギー独立」は、1973年にニクソン政権が第一次石油危機に直面して以来、米国の歴代政権が一貫して追求してきた目標であった。

しかし近年のイノベーションにより米国の石油・ガスの探査・掘削技術が大きく進歩し、2026年には米国はエネルギー純輸出国になると見込まれている。トランプ政権は「エネルギー独立」を一歩進め、米国の豊富なエネルギー資源を外交ツールとして活用することも視野に入れている。

例えば7月のポーランド訪問ではトランプ大統領はロシアへの天然ガス依存を懸念するウクライナ、ポーランド、ハンガリー、バルト三国等に対して米国産LNGの輸出が中東欧地域の対ロシア依存軽減に貢献することをPRした。韓国の文大統領との米国訪問の際にもLNG輸出が話題になる等、日本、韓国、中国、インド等との二国間協議の際においても米国産LNG輸出を貿易等の他のアジェンダと絡めて外交ツールの一つにすることも考えているようだ。

なお「エネルギー支配(Energy Dominance)」という用語が適切か、という議論もある。支配(dominate)が発生すれば、必然的に被支配(dominated)が発生する。オバマ政権でエネルギー省国際担当次官補を務めたジョナサン・エルキンド・コロンビア大上席研究員は、「米国産エネルギーの顧客と目される国々が望むのは支配されることではなく、パートナーシップである」と述べている。

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最終更新:7/22(土) 16:19
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