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マクドナルド誕生の裏側を描いた映画『ファウンダー』から学ぶ後出しジャンケン必勝法【コラムニスト木村和久】

7/22(土) 16:00配信

週刊SPA!

― 木村和久の「オヤ充のススメ」その170 ―

 7月29日公開の映画『ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ』を紹介させて頂きます。タイトルのファウンダーとは、創業者のことを指します。なんの創業者かというと、世界一のハンバーガーチェーンを築いたマクドナルド帝国の創業者の話となります。

 マクドナルドといえば、最初にお店を作った人としてマクドナルド兄弟の名が有名です。しかし、創業者として永遠に名前を残すのはレイ・クロックという人物です。

 この映画は、マクドナルド兄弟が発明したスピーディーに品物を提供するハンバーガー店をレイ・クロックがいかに合法的に買収し、自分のものにしたかのお話です。だから、後だしジャンケン必勝法と書いたのです。

 話をかいつまみますと、当時マクドナルド兄弟の作ったハンバーガー店はオーダーしたら、ものの30秒でハンバーガーが出て来て、大人気でした。しかもお客さんは健全なファミリー層やカップルがメインで和やかな雰囲気で食事をします。実は、当時1950年代のロードサイドのカフェレストランは、不良のたまり場でした。だから、限られた層しかカフェに行きませんでした。マクドナルド兄弟の店は全てのアメリカ市民がターゲット、ゆえにハンバーガーが国民的な食べ物に成り得たのです。

 映画の始まりはマクドナルド兄弟とレイ・クロックの出会いからです。マクドナルド兄弟がチェーンを数件に広げたあたりで、レイ・クロックが登場します。レイは当時、アイスシェイク・ミキサーのセールスマンをしており、52歳で泣かず飛ばずの人生を送っていました。そんな矢先、一気に6台もの注文が入り、小躍りするレイ。そんな景気のいい店ってなんだろうと覗きに行ったら、それがマクドナルドだったのです。

 そこからレイはマクドナルドのフランチャイズ権を獲得し、破竹の勢いで店を増やしていきます。

 買収の顛末は映画で楽しんでいただくとして、何か事を起こそうとしている人にとっては、たまらなく魅力的に見える映画です。だって自分がオリジナルのイノベーションをせず、他人のアイデアを拝借して、巨万の富を築くなんて、なんと素敵なことでしょう。しかも、当時のレイはしがないセールスマンですから、お金もありません。これで、よくまあ他人のふんどしで相撲を取って、勝てたものです。

 映画の最後で、レイはマクドナルド買収の必要性を語ります。

「マクドナルドのキッチンのシステムは熟知していた。だから名前を変えて、新しいハンバーガーチェーンを作るのは容易だった。けど私はマクドナルドという名前が欲しかったのだ。レイ・クロックのハンバーガーチェーンじゃ、誰も客は来ないよ」

 とまあ、こんな感じのコメントを残しています。マクドナルドというドイツ語に近い語感の響きが、なぜか人々をわくわくさせると直感でわかっていたのです。

 日本の企業でも、たった1軒の店から日本中にチェーン店を築いた例はたくさんあります。そんな数ある飲食店の中で、これは凄いと思ったのは喜多方ラーメンの「坂内」です。1980年代、福島県の喜多方の「坂内食堂」に行ったことがありますが、おばちゃんが寸胴でスープをこさえる家族で経営している小さな店でした。普通に頼んでチャーシューメンが出てくる、つまり肉マシマシが当然という画期的な店だったのです。もちろん、当時から大行列です。

 その店は、自らチェーンを広げたわけではありません。実は麺食という会社が坂内本店とフランチャイズ契約をして、現在50店ほど、全国展開しているのです。

 たまに好きで喜多方ラーメンに行きますが、結構いい線の味です。しょう油ベースのスープは最近のこってり系が多いなか、妙な懐かしさを覚えます。チャシューも、本店のように非常にボリューム感がでてます。もちろん、喜多方の本店監修のもとに、フランチャイズの味を作っており、充分本店の代用を果たしています。ちなみに坂内という名前はお店のオーナーの名字です。今となっては、名店の響きがしますね。そういう意味じゃ、マクドナルド化したのかもしれません。

 映画の中で、レイ・クロックは自己啓発のレコードをかけて、自分の進む道は正しいんだと、自己暗示をかけて、ビジネスに挑んでいました。今から60年以上も前に、アメリカでは自己啓発グッズが当たり前にあったのも驚きです。

 そんなわけで、もはや中年に達し、オリジナルのイノベーションもできない、お金もないというあなた、レイ・クロックの自伝的映画を見てはいかがでしょう。いい刺激になると思いますよ。ぜひご鑑賞あれ!

■木村和久(きむらかずひさ)■

トレンドを読み解くコラムニストとして数々のベストセラーを上梓。ゴルフやキャバクラにも通じる、大人の遊び人。現在は日本株を中心としたデイトレードにも挑戦

日刊SPA!

最終更新:7/22(土) 16:00
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