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横綱・稀勢の里が迫られる「年内全休」の決断

7/23(日) 16:00配信

NEWS ポストセブン

 横綱昇進を果たしたばかりの稀勢の里が、故障を抱えたまま強行出場した名古屋場所では、2場所連続となる途中休場に追い込まれた。稀勢の里フィーバーに沸いたメディアの動きにも、微妙な変化が見られる。

 名古屋場所4日目、14歳にして将棋界の連勝記録を塗り替えた“時の人”である藤井聡太四段が観戦に訪れた。

「NHKの招待による観戦で、藤井四段は支度部屋にもやってきた。本来なら人気者の稀勢の里と絡んでもらうところですが、すでに2敗を喫して笑顔はなく、代わりに白鵬とのツーショット撮影の場が設けられた。白鵬がスポットライトを奪い返した構図となりました」(スポーツ紙デスク)

 稀勢の里が所属する田子ノ浦部屋関係者の表情は厳しい。

「稀勢の里は先代師匠(先代・鳴戸親方=元横綱・隆の里)の“力士は休場すべきでない”という教えを大切にしているが、次に出る時は本当に万全の状態でなければならない。次の9月場所はもちろん、11月の九州場所も休場して、来年の初場所での再起を期すことを周囲は促している。とにかく進退が懸かった戦いになる」

 問題は、本当に「万全の状態に戻る」ことができるのかだ。稀勢の里の持ち味といえば、左からの強烈なおっつけで相手の差し手を封じ、そのまま左を差しての一気の寄りだ。にもかかわらず左腕と左胸を繰り返し負傷しての連続休場である以上、「相撲のスタイルを変えるしかないんじゃないか」(協会関係者)という声が上がるのも当然だろう。

 現役時代に繰り返し故障に悩まされた経験を持つ玉ノ井親方(元大関・栃東)は、こんな言い方をした。

「(左の強さを武器にする)スタイルで横綱まで上がってきたわけだし、相撲を変えるといってもそう簡単ではないでしょう。一番、葛藤が深いのは本人です。これまでも苦しい時期があって、それを乗り越えてきた。自分の動きができる体に戻すしかない」

 土俵の厳しさを知る元力士だからこそ、その言葉は重い。実際、稀勢の里自身が牽引役となった結果、現在の幕内上位にはガチンコ勢がひしめいている。復帰場所では彼らが全力で向かってくる以上、中途半端な状態での出場はそれこそ力士生命にかかわってくる。

 とりわけ強敵になるのが、今場所も稀勢の里に土をつけた御嶽海を筆頭とする平成4年生まれの力士たちだ。成長著しい北勝富士(前頭2)、宇良(前頭4)はいずれも今場所、金星をあげて土俵を沸かせた。

「平成4年生まれなので、『ゼロヨン世代』と呼ばれています。大卒の彼らは、野球賭博や八百長騒動で角界が揺れた2010年以降に入門した、群れることがない伸び盛りの世代ですよ。稀勢の里は先場所も今場所も、横綱・大関のモンゴル勢とぶつかる前に、彼らに負けて途中休場に追い込まれた」(スポーツ紙デスク)

※週刊ポスト2017年8月4日号