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Sexy Zone中島健人は“王子様”であるーー『ここさけ』ケンティーを絶対に見逃してはいけない

7/23(日) 6:00配信

リアルサウンド

 中島健人は“王子様”である。

 突然何を言い出したのかと思われるかもしれないが、彼のジャニーズアイドルとしてのプロ意識の高さと、ラジオやテレビ番組をはじめ様々な場所で見せる素晴らしい返答の数々、そして一寸の抜かりさえ見せないファンサービスには、いつも敬服してしまう。もちろん、そんな若い男子特有のちょっとイキがった感じが苦手だという意見もよく聞くが、批判的な声も人気がある何よりの証だ。

 たとえば、Kis-My-Ft2の二階堂高嗣やA.B.C.-Zの橋本良亮らと共に次世代ジャニーズのメンバーを牽引した初主演作『BAD BOYS J』(日本テレビ系)では抗争を繰り広げるヤンチャな高校生。さらに、昨年公開された『黒崎くんのいいなりになんてならない』では“悪魔”と形容されるオラオラ系男子を演じ、普段彼が見せる表情に近い“強引な王子様キャラ”を強めてきた。

 しかし、強引なそぶりだけが彼を“王子様”に仕立てるわけではない。“ラブホリ先輩”の愛称で、常に完璧なアイドルで居続ける彼が、ちらりと優しい表情を見せるときに「中島健人=王子様」という式が完成される。もちろん、それは歌番組などでSexy Zoneの一員としての彼を見ているだけでは見落としてしまう。ひとりの俳優・中島健人として、普段とは違うキャラクターを演じているときに、じっくりとそれを見ることができるのだ。

(以下、勢い余って「ケンティー」と書いている箇所が多々あります。)

 3年前に公開された主演映画『銀の匙 Silver Spoon』。進学校のプレッシャーから逃れて農業高校で奮闘する高校生を演じた時には、“王子様”を封印し、普通の高校生に徹していた。原作に合わせて冴えない雰囲気を携えて、未知の世界を経験していく少年の瑞々しい姿で、ジャニーズらしさを超えて、スクリーン映えする俳優らしい演技を見せてくれたのだ。

 そうなれば、今回『心が叫びたがってるんだ。』で主人公の坂上拓実役にケンティーが抜擢されたとなれば、楽しみでないはずがない。あくびをしながら自転車に乗ってしまうような、普通の控えめな高校生の役なのだから。しかもこの役は、中学時代に交際していた相手はクラスのヒエラルキーの上位にいるが、その友人たちから「坂上なんか」と蔑視した言われ様をするし、オタクっぽさを全開にした面々が揃うDTM研究会に所属している。これは『銀の匙』の“八軒くん”以上に王子様キャラとは程遠いではないか。

 しかし、そこは巧く脚色されている。アニメ版での坂上拓実より澄んだ瞳をして爽やかなキャラクターになっているだけでなく、あくまでも控えめに、ケンティーらしさをそこかしこに見せてくれるのである。中学までピアノを習っていたが、それが原因で両親が離婚したというトラウマから、しばらく演奏していなかった彼は、ミュージカルを作るために父親の部屋でひとりピアノを弾き始める。さらに、「Over the Rainbow」と「悲愴」を重ねて同時進行で弾くという難易度の高い技も披露する。

 そう、ケンティーといえば、コンサートでもピアノを演奏するほどの腕前の持ち主なのである。『黒崎くんのいいなりになんてならない』でも、ヒロインの小松菜奈の手に自らの手を重ねてピアノを弾くという胸キュンシーンが登場したが(指を鳴らすのでは、と期待してしまう)、今作でもピアノを弾くケンティーが見どころのひとつとなるのだ。

 さらに、物語の要となるミュージカルの場面で、奇しくも王子様の役を演じるケンティー。5月に行われたSexy ZoneのツアーMCで、撮影中に熊沢監督から「ターンが綺麗すぎる」と言われて、あえてぎこちなくやったという話が登場したのだが、さすがにそれでもバランス良く、自然にターンをこなしてしまうのはもう仕方がない。

 筆者の個人的に、劇中のベスト・オブ・ケンティーを挙げるならば、前述した“映画でしか観ることができない”表情の数々からふたつ挙げたい。ひとつ目は、ヒロインの成瀬順(芳根京子)との帰り道でケータイの番号を交換し、メッセージのやり取りを始める場面。「ありがとう」とのメッセージに、「なんか、照れるな」と言いながら浮かべるはにかんだ表情。そして終盤、廃ホテルに順を迎えに行くところで、座り込んでから見せるあまりにも優しい表情。このふたつは絶対に見逃してはならない。

久保田和馬

最終更新:7/23(日) 6:00
リアルサウンド