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女性僧侶プロレスラーが、子供たちのために闘う!「きらきら太陽プロジェクト」

7/23(日) 8:50配信

HARBOR BUSINESS Online

「暴風神父」フライ・トルメンタというプロレスラーの名前を聞いたことはあるだろうか。孤児院の運営資金を得るため、ルチャドール(メキシコでのプロレスラーの呼称)として活動した、キリスト教の司祭だ。

『グラン・マスクの男』(主演:ジャン・レノ)、『ナチョ・リブレ 覆面の神様』(主演:ジャック・ブラック)と、彼をモデルにした映画が2度作られている。

 また、日本では中学校英語の教科書『Sunshine』(発行:開隆堂出版)の2年生での単元「A Priest in a Mask」で取り上げられたのでご存じの方もいるだろう。

 日本でもフライ・トルメンタと同じように、子どものため闘う宗教者がいる。ただしキリスト教ではなく仏教、男性でなく女性という違いはあるが。

◆僧侶資格を得た女子プロレスラー

 雫有希(しずく あき)。クラッシュギャルズで一世を風靡した、長与千種が創設したプロレス団体「Marvelous」(マーベラス)に所属する女子プロレスラーだ。

 大学生時にレスリングを始め、その後プロレスラーデビュー。実家が寺ということもあり、チャリティ興行「お寺プロレス」を開催している。フリーランスで活動中に僧侶資格(浄土宗)を取得。2015年からマーベラス所属だ。

 マーベラスとは別に、雫が主宰しているのが「きらきら太陽プロジェクト」。長野県にある、善光寺大本願乳児院へのチャリティを目的とした活動だ。

 乳児院とは児童福祉法で定められた、保護者との生活が難しい乳児を養育する福祉施設で、おもに生後間もない0歳から1歳未満を対象としている。

 首都圏中心に大会を開催し、収益を寄付しているが、今年の4月30日には愛知県愛西市の大法寺でもおこなった。雫の考えに賛同する東京と、地元・愛知のプロレスラーたちが協力しての開催だ。当日の様子を紹介しよう。

◆僧侶タッグが境内で奮闘

 会場は境内と駐車場だ。観客は寺から振る舞われる団子や綿アメを口にしながら観戦し、募金をする形式だ。

 この日のメインイベントは男女混合のタッグマッチ。雫のパートナーは、名古屋のローカルプロレス団体「スポルティーバエンターテイメント」所属の阿部史典。2015年にデビューしたばかりの新人だが、老舗の全日本プロレスから、雑居ビルでのマットプロレスまで月に10試合以上をこなす売れっ子レスラーだ。彼もまた浄土宗の僧籍をもつ。

 そのため「男女僧侶混合プロレスタッグチーム」となり、字面だけ見るとカオスきわまりない。

 チームがカオスとなれば、試合もカオスなスタートを切る。いきなりの場外戦。4選手が客席に雪崩れ込む。雫は綿アメ製造機に顔を突っ込まれそうになったり、ホースで水を浴びせたりと楽しくも激しい闘いを見せる。

◆優勝者には戒名を無料進呈!

 闘いの場はリングへ戻る。相手セコンドの介入で、雫が孤立し攻め込まれる。しかし、スキを突いて同士討ちを誘い、阿部の助けを借りて雫が必殺技「デスバレーボム」で勝利した。仏僧、もとい物騒な名の技を使うのが面白いところだ。

 さらにオマケで全選手参加バトルロイヤルがおこなわれた。寺でのプロレスらしく、優勝者には「戒名無料進呈」と、生きている間はあまり使いどころがない賞品が贈呈される。

 リング上のあいさつで、雫は乳児院について語り、感謝の言葉、そしてこれからも活動を続けていと述べた。

 興行終了後、雫に話を聞いたところ、チャリティではあるが強く押し出しすぎず、乳児院の存在と活動を知ってもらうことが大事で、プロレスの活動を通じて広めていきたいと語ってくれた。

◆子どもだけではなく、周りの大人も笑顔にしたい

 きらきら太陽プロジェクトは、単に金銭的な支援を募るだけではない。実際に乳児院を訪問し、試合もおこなっている。闘い終えた後、レスラーたちは子どもたちだけでなく、職員・支援者たちとも交流する。周りの大人たちが元気でなければ、子どもを笑顔にすることは難しいからだ。

 その点、プロレスは元気や勇気を届けるにはもってこいだ。過去の記事でも述べたが、プロレスは何度やられても立ち上がる姿を見せることで、あきらめない心を伝えるスポーツエンターテインメントだからだ。

 筆者は公立小中学校に勤務していた際、福祉施設に訪問し職員や子どもたちから話を聞いたことがある。児童福祉施設と聞くと、虐待や育児放棄などで、子ども”だけ”が苦しんでいると見られがちだが、けっしてそれだけではない。

 もちろん虐待は許しがたい犯罪だが、そのような状況に追い込まれてしまった親たちもまた苦しんでいる。やむを得ない事情で、子どもと離れて生活しなければならない親も少なくないことを知っておいてほしい。

 もしこの記事を読み、乳児院や児童養護施設について興味をもったなら、少しでも構わないので協力してほしい。金銭的支援ではなくとも、ちょっとした雑談のネタにしてもらうだけでもいい。

 最後にマザー・テレサの言葉で締めくくろう。

 「私たちのすることは、大海のひとしずくにすぎません。でもそれがなければ、大海はひとしずくぶん減ってしまうのです」

・きらきら太陽プロジェクト 次回大会

日時:2017年10月15日(日)12時30分開場 13時00分開始予定

会場:PURE-J道場 亀アリーナ JR常磐線 亀有 北口より徒歩13分

観戦料:全席自由席 4000円/学生割引・障がい者割引 1500円/中学生以下無料

<文・たこやきマシン>

【たこ焼きマシン】

名古屋在住のローカルプロレス探求家。ローカルプロレスファンサイトたこ焼きマシン.com、スーパーたこ焼きマシン.comを運営。北海道から沖縄、台湾まで未知のプロレスを求め観戦に遠征する。ご当地プロレスラーガイドブック『ローカルプロレスラー図鑑』をクラウドファンディングで発行。オンラインストア。元・小中学校教員、障害者職業能力開発校講師。夢は世界中すべてのご当地プロレスを観戦しての『ワールドローカルプロレスラー図鑑』制作。

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最終更新:7/23(日) 13:37
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