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神戸の珍しい名字「栗花落」さんの由来は、約1300年前にさかのぼる

7/24(月) 18:00配信

BEST TIMES

日本全国に数多ある名字に高校生の時から興味を持ち、研究を始めた高信幸男さん。自身が全国を行脚し出会ってきた珍名とそれにまつわるエピソードを紹介する。

 日本の名字の中には、なぜ、そのような読み方をするのかと迷ってしまう名字も少なくない。今回は、梅雨の時期なので(※雑誌『一個人』掲載時)「つゆ」にまつわる名字を紹介したい。

 兵庫県神戸市に「栗花落」と書いて、「つゆり」と読ませる名字の方が数軒おられる。「つゆり」と読ませるのは、栗の花が落ちるころに「梅雨入り」をするからである。

 この名字には、古い歴史がある。今から約1300年近く前の天平時代に、この地(現:神戸市北区山田町)に住んでいた山田左衛門尉真勝という役人(郡司)が、朝廷に仕える大納言・藤原豊成の娘である白滝姫に恋をし、求婚をしたが断られた。

 それを哀れに思った第47代淳仁天皇が、真勝と白滝姫に和歌くらべを命じ、優れた和歌を詠んだ方の望みをかなえることとした。結果は、真勝の和歌が優れていたことから、その望みをかなえ、二人を結婚させることとなった。それは梅雨の時期で、雨に打たれた栗の花が落ちる時期であったことから、天皇より「栗花落」の名字を賜ったと伝えられている。

 やがて、白滝姫がこの地にやってきた時、村は干ばつのため水に困っていた。そこで白滝姫が、持っていた杖で地面を突くと清水が沸き出したという。村人は大いに喜び、その清水の湧き出した井戸に夫婦の名字である「栗花落」の名を取って、「栗花落(つゆ)の井」と名付けたとの言い伝えもある。

 また、現在も神戸市には、「栗花落の井」や白滝姫を祭る祠がひっそりと残っている。

〈『一個人』7月号より構成〉

文/高信 幸男

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