ここから本文です

蒸気で炊くバルミューダの炊飯器を生んだ「お米が主役」発想からの脱却

7/24(月) 7:30配信

@DIME

「食卓の主役」と思われていたご飯。過熱化する炊飯器商戦は、それを象徴するようでもある。しかし、その考えを見直さざるを得ない商品が登場した。

《キッチン家電第3弾》当初予想の2倍以上のペースで予約受注

■蒸気の力でシャッキリ炊ける!
 BALMUDA The Gohan 4万1500円

独特の二重釜構造を持ち、2017年2月の発売以来、入荷待ち状態が続いている。デザインも機能もシンプルさを追求し、色はブラックとホワイトの2色。炊飯容量は0.5~3合。幅275×奥行き251×高さ194mmのコンパクトなサイズも好評。

◎「お米が主役」という既存の発想からの脱出

 2010年に革新的な扇風機『GreenFan』でユーザーや業界関係者を唸らせたバルミューダは、2015年からキッチン家電に力を入れている。

 独自のスチーム技術で最高の香りと食感を実現した『BALMUDA The Toaster』、注ぎやすさにこだわった電気ケトル『BALMUDA The Pot』と、ヒットを立て続けに飛ばし、2017年2月に満を持して投入したのが、『BAL--MUDA The Gohan』。だが炊飯器市場は過熱気味。なぜそこに挑んだのか。

 バルミューダの寺尾玄社長は、「おすすめしたい商品ができたから」と事もなげに言う。

「マーケティングを一切せずに提案したい商品を出す、という私たちの姿勢は創業時から一貫して変わっていません。この商品も『食卓をもっと楽しくしたい』というシンプルな目的から開発が始まりました」

 トースターの製品化によって、朝食でおいしいパンが食べられるようになった。「次は夕食」という程度の動機だったと、寺尾氏は振り返る。

「僕は『夕食はお米』というタイプで、こだわって土鍋で炊いていました。でも土鍋を使うとコンロをひとつ占有してしまう。だったら土鍋の味を炊飯器で再現すればいいんじゃないか、と」

 だが開発は遅々として進まなかった。「おいしいお米」を食べられるなら素材にこだわればいいと、「冷凍ご飯」の開発にもトライした。

「4~5か月、冷凍ご飯に挑戦しました。でもうまくいかない。そこでもう一度、炊飯器に立ち返ったのです」

 既存の炊飯器は、急速に圧力をかけて米を煮崩す。ゆえに炊き上がりは、米の中の甘味や香りが立ち上る。だが冷凍ご飯を研究したことで、既存商品が、お米本来のおいしさを損ねていることにも気づいた。

「既存商品は、いわば『お米が主役』の考え方。甘味が強すぎ、おかずの味を消してしまっていた。おかずなしでご飯を食べる人は、まずいない。主役はあくまで肉や魚、カレーなどのおかず。どんなおかずも受け止める『キャッチャー』のようなご飯を炊きたいと考えました」

 そう確信し、和食の名店を訪ね歩くと、ご飯はやはり主張していない。シャッキリした食感がおかずを引き立てていた。

 従来の炊飯器とは全く異なる、新商品の方向性が固まった。

◎僕たちが作っているのは商品ではなく、体験

 アイデアは固まっても技術的に可能なのか。

 試行錯誤の末、たどり着いたのが「蒸気で炊く」という手法だった。釜を二重構造にし、外側の釜に水を入れ、その蒸気で内側の釜を包み込み、ゆっくり加熱する。丁寧に熱を加えていくことで、既存の炊飯器と違って、米が煮崩れない。

「煮崩さないので、既存の炊飯器に比べ、甘い香りはしません。しかしその分、旨味が米の中にぎゅっと凝縮されている。米が粒立ち、芯までやわらかいのにシャッキリとした食感が実現できました」

 この炊飯器のもうひとつの強みは、冷めてもおいしいこと。米粒が壊れていないので、長時間、米の旨味が粒の中に閉じ込められているからだ。

「親に作ってもらったお弁当を食べる。忘れられない体験ですよね? この炊飯器を使えば、その体験をもっと楽しいものにできます」

 米本来のおいしさを追求するため、捨てざるを得なかった機能もある。ひとつは保温。保温するとおいしさが損なわれるため、思い切ってカットした。

 もうひとつは量。既存の炊飯器は5.5合炊きがメインだが、蒸し炊きは今のところ3合が限界の技術だという。

 気になるのは次の一手だが?

「僕らが作りたいのはユーザーにとっての“感動的な体験”。そのためなら何でも形にします。近々では食品。辛さがやみつきになる『カレー』を出します。この炊飯器のご飯で食べれば、間違いなく感動的な食卓になると自負しています」

 攻めの姿勢は衰え知らずだ。

【“お米が立つ”秘密は「二重釜構造」にあり!】

内釜と外釜の間に水を入れ、熱した時の蒸気のみで炊飯する方式。100℃を超えない温度制御により、米粒の表面を傷つけず、香りと旨味を閉じ込めることに成功した。

本体に外釜と内釜の2つをセット。外釜に入れた水が蒸気となり、蒸気が内釜を包み込むように広がることで、じっくりやわらかに加熱される。

炊き上がったお米はハリツヤがあり、一粒一粒がしっかり粒立っているのが一目でわかる。シャッキリとした歯ごたえが楽しめる。

文/編集部

※記事内のデータ等については取材時のものです。

@DIME編集部

最終更新:7/24(月) 7:30
@DIME

記事提供社からのご案内(外部サイト)

@DIME

小学館

2017年12月号
10月16日発売

定価600円

Amazonを使い倒す超賢ワザ
『iPhone X』を買うべき10の理由
開発の裏側も見せます!無印良品の家電学

Yahoo!ニュースからのお知らせ