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注目の最低所得保障、インドで「不道徳」と批判される理由

7/24(月) 10:00配信

Forbes JAPAN

生活賃金を保証できない各国の政府や企業にとって、解決策と目されているのが最低所得保障(UBI)だ。だが、その支給を政府が行うとすれば、誰もがすでにいくらかの収入を得ていると知っている企業は、賃金を下げてもいいと考えることにならないだろうか?



UBIはフェイスブックのVRゲームをやめられないカウチポテトを増やすだけとも指摘されている。インド紙エコノミック・タイムズの編集者、スワミナサン・アンクレサリア・アイヤーは7月18日付けの同紙に寄稿した論説の中で、「自分の息子にはUBIに頼ってほしくない」として、次のように述べた。

「…家でビデオゲームばかりして過ごすようになってほしくない。社会は見下げ果てたものになってしまう可能性がある。小人閑居して不善をなすということわざのとおり、働いていなければ軽犯罪からギャンブル、テロ行為まで、人々は好ましくない行動を取るようになるになるだろう。欧州のイスラム教徒が多く住む地区では、仕事に就けない多数の人たちが生活保護に頼って暮らし、そこではイスラム過激派が生み出されている。ビル・クリントン元米大統領は、生活保護を勤労福祉制度に変えた。それは、社会にも経済にも大きな成功をもたらした」

アイヤーは7月中旬にデリーで開催されたUBIに関するセミナーに出席していた。インドのような国には、必要最小限の所得保障が必要と考える人たちもいる。だが、アイヤーはこのセミナーで専門家たちが示した支給額にも賛同できないという。その理由は、それが貧困線にも満たないごくわずかな金額だからだ。

セミナーで提案されたのは、年間3500ルピー(約6000円)や1万ルピー(1万7300円)といった支給額だ。どちらもわずかな支給額のために、優遇税制措置や無駄とされる補助金制度の廃止などを行う必要に迫られる。さらに、1万ルピーの支給なら、コストは国内総生産(GDP)の10%に相当する額になると見られている。当然ながら、国会で何年もかけて議論されることになるだろう。

アイヤーはセミナーの中でも、「モラルがない」としてこうした支給額に反論を唱えた。そして、論説の中でこう述べた。

「なぜこのような少額の支給を最低所得補償と呼び、社会革命だなどとを誇大に宣伝するのか」

「国民が経済的に自立した社会になってほしい。政府は安全保障や基本医療、教育、インフラをはじめとする質の高い公共財を提供するべきだ。そして同時に、貧困撲滅に的を絞った努力を払うべきだ。働かない人を増やすかもしれないUBIの導入は不道徳であり、反対だ」

Kenneth Rapoza

最終更新:7/24(月) 10:00
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