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米マクドナルドがウーバーと組んで宅配開始、成否の鍵は「脱クルマ世代」

7/24(月) 6:00配信

ダイヤモンド・オンライン

● マックがウーバーと組んで デリバリーを始める理由

 米国でマクドナルドといえば、もっぱらドライブスルーのイメージが定着している。クルマ社会の米国らしいといえるが、今回、マクドナルドは「南カリフォルニアでウーバー・イーツと提携したデリバリーサービスを開始する」と発表した。社名からもわかるように、配車アプリ大手のウーバー・テクノロジーズ社のフードデリバリービジネス部門だ。

 マクドナルドは、まずロサンゼルスを中心とする375の店舗で、ウーバー・イーツを使った宅配サービス、マックデリバリーをスタート。その後、シカゴ、コロンバス、フェニックスで順次展開する予定で、マック・デリバリーの提供店は全米で当面1000店舗に拡大する。

 ファストフード業界のデリバリーサービスはすでに始まっており、マクドナルドが初めてではない。全米5位のハンバーガーチェーン店、ジャック・イン・ザ・ボックスは今年3月からサンフランシスコのフードデリバリー会社、ドア・ダッシュと提携して856店舗でサービスを開始した。

 日本のマックデリバリーは2013年にスタート。現在、エリア限定でサービスを行っている。注文は1500円以上から対応し、デリバリーサービス料は300円かかる。

 ウーバー・イーツは14年からロサンゼルスで食べ物の宅配サービスを開始、現在1000軒以上のレストランと提携し、宅配を行っている。ウーバー・イーツによると、アプリでの検索集計からユーザーが最も宅配に興味を持つのはピザ、メキシカンフード、ハンバーガーだという。このうちピザは、もともと店舗による宅配が販売の中心になっているが、ウーバー・イーツは「アプリでマクドナルドを検索するユーザーが多く、今回の提携は大きなサービス向上につながる」としている。

● ミレニアルとベビーブーマー、 両世代のニーズを狙う

 しかしなぜ、フードデリバリーサービスが注目を浴びているのか。それにはミレニアル世代の存在が挙げられる。米国で1980~2000年ごろに生まれた若者たちで、デジタル機器やインターネットが普及した環境に生まれ育った最初の世代にあたる。第2次世界大戦が終結した翌年の1946年から64年ごろまでに生まれた世代をベビーブーマー世代と呼び、彼らがこれまで米国社会の中核を担ってきたが、すでに人口構成のうえではミレニアル世代がそれを上回っている。ミレニアル世代の特徴は「クルマを持ちたがらない、自分でクルマを運転したがらない」という点だ。ウーバーのようなライドシェアサービスが生まれたのも、こうしたミレニアル世代が多数派を占める社会情勢が関係している。

 米国で“16歳になればすぐに運転免許を取る”というのは昔の話。現在の21歳以下の米国人の免許取得率は75%程度にまで落ちている。1990年代までは90%以上が免許を取得していたのだから激減である。自分でクルマを運転してファストフード店前の車列に並ぶよりは、デリバリーサービスを利用したいと考えるのだろう。フードデリバリーサービスの利用者の56%がミレニアル世代だ。

 ウーバー・イーツの利用料金はデリバリー1件当たり4ドル99セント(約550円)に設定されている。ビッグマックが4ドル51セントだから、商品よりも、デリバリー料金のほうが高い。デリバリーは価格の安いファストフードにとっては、やや贅沢なサービスともいえるだろう。

 クルマの維持費、クルマをレストランまで走らせ商品を買うまでの時間、ガソリン代など……そういうコスト計算をするのがミレニアル世代の特徴だという。この特性にビジネスチャンスがあると見込んで、マクドナルドは新サービスに乗り出す決断をしたのだろう。

 もうひとつある。ベビーブーマー世代は一斉に社会から退場するわけではない。米国でも超高齢化社会が差し迫った課題である。クルマを運転しないのではなく、クルマから離れざるを得なくなってくる。一方で、クルマがなければ生活できないというジレンマもある。つまりデリバリーサービスは社会的なインフラになり得る潜在力を秘めている。この点は日本も同じだろう。ネット社会は、配送サービスが支えるというお話……。

 (報告/土方細秩子、まとめ/CAR and DRIVER編集部)

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