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重要なニュースより視聴率がとれるネタを優先――日本のマスメディアの限界と可能性とは? 池上彰×増田ユリヤ対談【後編】

7/24(月) 6:30配信

ダ・ヴィンチニュース

■「政治的中立公平」を規定した放送法がなくなれば日本も変わる!?

――海外では選挙シーズンになると政治家のテレビ討論も盛んに放送されますが、日本では政治番組自体が非常に少なく、テレビ討論も誰かが欠席すると見送りになります。日本における政治とメディアの関係についてはどう見ていますか。

池上 日本はアメリカと違って、「政治的中立公平」を規定した放送法がありますからね。テレビ討論も、去年の参議院選挙のときは自民党が欠席したので、番組自体が流れてしまった。メディアはやりたかったのに自民党が逃げたんですよ。

増田 どの国も、テレビ討論は有権者にとって大事な判断材料になりますから、日本のメディアも自由にやったらいいのにと思いますけどね。

池上 放送法があるために、政治情勢について言いたいことを自由に言える環境ではないんですね。しかも日本の民放のニュースは常に視聴率を気にします。1分刻みで視聴率を調べていて、どの話題をとり上げたときに数字が上がったか下がったか、翌日にはわかるんですよ。当然、担当ディレクターが誰かわかるから、コイツのときに落ちた、上がったとなるわけです。

 報道すべき内容かどうかというのは、二の次という考え方も根強いです。たとえば、舛添要一さんの公私混同問題のニュースのときなんて、急に視聴率が上がったために各局が同じような内容を何度もしつこく放送し続けました。そうすると視聴者が飽きてくるので、突然、終わるわけです。どのニュースもその繰り返しですから。

 イラク戦争のときに、NHKの国際部の人から聞いてびっくりしたのは、「続いてイラク情勢についてのニュースです」と言った瞬間に視聴率がドーンと落ちるという話です。NHKはそれでも放送しますが、視聴率優先の民放にとっては致命的なので、やめておこうという話になるわけですね。にわとりと卵、どっちが先かわかりませんが、国際情勢のニュースは視聴率がとれないからやらない、テレビで取り上げないから視聴者はますますわからなくなって視聴率が下がる、そういう悪循環になっていると思いますね。

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