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パナソニック主導、“サイバー攻撃”防御システムの精度

7/24(月) 5:57配信

デイリー新潮

 真夏日が続いているが、外出先からスマホでクーラーを作動させておけば帰宅後も快適に過ごせる。随分、便利な時代になったが、ある日、突然、自宅の家電が犯罪の片棒を担いでしまうようなコトが現実の世界でも起こりつつあるらしい。そんなサイバー攻撃への対策は進んでいて、なかでもパナソニック主導の“防御システム”が注目を集めているという。

 最近、よく聞くIoT(Internet of Things)。スマホなどのIT機器とそれ以外のモノを繋げることで、AIと並び“第4次産業革命”の担い手とも目されている。すでに我々の日常生活の中に浸透し始めていて、スマホで遠隔操作できる家電のみならず、ドアの開閉や照明の調整ができる“IoT住宅”まで販売されているのだ。経済誌デスクによれば、

「例えば、飲食店のグラスに通信機器を埋め込めば、お客の飲み物が無くなったことが厨房にいてもわかり、すぐにお代わりを持って行ける。可能性は無限大。IoTの世界市場は右肩上がりで、一昨年は約74兆円でしたが、2019年には9割増の約137兆円に膨らむとの試算もあります」

 このビッグビジネスを逃すまいと、多種多様な企業が参入の機会を窺っている。その一方で、便利な生活を提供するはずのIoTが、犯罪に利用される事件が昨年10月に起きたのだった。

「米国の大手インターネット関連会社がサイバー攻撃を受けて、サーバーがダウンする事件が起きました。何者かが、インターネットに接続している世界中の監視カメラ約10万台を乗っ取り、そこに蓄積していた大量の情報をインターネット関連会社へ送りつけたことが原因でした」(同)

 ちなみに、サイバー攻撃に加担した約10万台の中には、日本の監視カメラも含まれていたのだ。

戦場を丸裸

 監視カメラを悪用したサイバーテロは、“IoT家電”を生産・販売する電機メーカーにとっても、決して対岸の火事とはいえない。そこでパナソニックは、米セキュリティーソフト開発会社と共同で“防御システム”を開発し、東京海上日動や電子部品大手のロームなど約10社と企業連合を組んだという。一体、どんなシステムなのか。パナソニック広報部に聞くと、

「IoT機器を悪用した“ハッキング”や“なりすまし”などの防止が目的です。独自の高速計算技術を使用して、能力が低いCPUでもパソコン並みの“暗号処理”をすることで、不正な通信を監視できます。仮に、ウィルスの検出や感染が確認された場合でも通信を遮断して、犯罪者による遠隔操作や、情報流出を防ぎますが……」

 CPUとはコンピュータの制御、情報伝送機能を司る中枢部品で、いわばIoT機器の心臓部だ。パナソニックの説明の歯切れが悪いのは、防御システムという性格上、詳細を公にできないからだ。

 米中露によるサイバー戦争の実情を描いた『ゼロデイ』の著者である、国際ジャーナリストの山田敏弘氏の評価は、

「パナソニックの防御システムの精度は100%安全とはいえませんが、良い取組みだと思います。実は、IoT機器の多くはネットへのスムーズな接続ばかりを重視して、セキュリティーを疎かにしていることが少なくありませんでした。これでは、まるで戦場を丸裸で歩いているようなものでしたからね」

 今後、日常生活に浸透していくIoT。覆うべきところは、覆った方がいい? 

「週刊新潮」2017年7月20日文月増大号 掲載

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最終更新:7/24(月) 5:57
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