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テレビ局の利害、会場、ベルト……。田口と田中の統一戦を阻む要素とは。

7/24(月) 12:01配信

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 WBA世界ライト・フライ級王者の田口良一(ワタナベ)が23日、東京・大田区総合体育館で同級1位のロベルト・バレラ(コロンビア)を下して6度目の防衛に成功した。

 試合後、テレビ解説を務めたWBO世界同級王者の田中恒成(畑中)がリングに上がり、2人でそろって対戦をアピールした。

 国内史上まだ一例しかないという「統一戦」にかける両者の思いとは─―。

 2人の王者の統一戦への熱い思いが、田口の3試合ぶりのTKO勝ちを生み出したように思えた。先に統一戦を呼び掛けたのは22歳の若き2階級制覇王者、田中だった。

 田中は5月20日、名古屋市の武田テバオーシャンアリーナで世界タイトルマッチを行った。16戦全KO勝ちのパーフェクト・レコードを持つアンヘル・アコスタ(プエルトリコ)を下した直後、リング上で解説席にいた田口を呼び、「今年中に僕とやりましょう!」と呼びかけ、さらに畑中清詞会長の了解まで取り付けたのだ。

 ファンの前で既成事実を作るパフォーマンスは、思い付きでやったわけではない。田口にその気があることをよく知った上でのラブコールだった。

前戦の不調から、王座陥落もささやかれていた田口だが。

 「両想い? 恥ずかしながら」

 田口が6度目の防衛を成功させたあと、記者に囲まれた田中は、そう答えて満足そうな笑みを浮かべた。

 田中の熱烈な“求愛”にリングで答えたのが田口だった。

 スイッチを繰り返し、ゲームメイクのうまいバレラとの試合は、常に前に出るタイプの田口が空転させられる、という予想もあった。前回のV5戦がドローだったこと、試合前から田中戦がクローズアップされていることも不安材料になりえた。王者が足をすくわれるのは、えてしてこういうときなのだ。

 そして、ゴングと同時に動き出した田口は決して万全には見えなかった。動きが軽快とは言えず、バレラに攻勢を許した。

5月にいい試合をした田中に負けてはいられない!

 参謀役の石原雄太トレーナーは「減量がきつかったのでは?」という問いに次のように答えた。

 「試合前に両脚がつりそうになったんです。いや、違和感と言うんでしょうか。だから足は心配だった。ただ、ベストとは言えないまでも、よく動いてくれたと思います」

 田口の気迫が、わずかなコンディションの乱れを凌駕した。

 5月にいい試合をした田中に負けてはいられない。

 そもそも統一戦が実現した場合、前評判は元アマエリートで、プロで無敗のまま2階級を制した田中の優位に傾くはずだ。強さをアピールしなければならないのは田口だった。

 受けに回った時間はわずかだった。「最初からいく。8ラウンドでスタミナを使い果たしてもいいと思った」の言葉通り、初回中盤からバレラをロープに押し込み、何度もボディブローを叩き込んだ。

 バレラの粘りに失速しかけたシーンもあったが、田口は燃料切れになることはなく、そのたびにエンジンをふかし直して挑戦者に迫った。そして9回、バレラを滅多打ちにしてストップ勝ち。「いい形で勝てて、やっと(統一戦の)土俵に立てた」。試合後に本音が口をついた。

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最終更新:7/24(月) 14:41
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