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オーディオブック、子育て女性から人気 火付け役は…

7/25(火) 7:47配信

NIKKEI STYLE

 若者の「テレビ離れ」「活字離れ」が著しいのと対照的に、人気を獲得しつつある新メディアがある。本を「聴く」オーディオブック。ビジネス書や小説など、書籍を音声コンテンツにしたもので、中には人気声優を起用したものも。スマートフォンで購入・再生できる手軽さなどが受けて、20歳代から40歳代を中心に市場を拡大している。制作・配信で国内最大手のオトバンクに、人気の理由やコンテンツ制作秘話、新サービスについて聞いた。

■月額750円聴き放題サービス開始

 オトバンクによれば、同社が運営するオーディオブック販売サイト「FeBe(フィービー)」は、2017年3月時点で会員数が約20万人を突破した。特に最近は会員数の伸びが大きく、会員登録者数(単月)は前年比約5倍程度だという。コンテンツも、2007年1月のサイト開設時には1000タイトルほどだったが、現在ではビジネス書から実用書、文芸作品まで約2万タイトルに増やした。

 2017年6月26日には定額制のオーディオブック配信サービス「audiobook.jp」も開始した。専用アプリを使い、月額750円(税込み)でオーディオブックが聴き放題になるというもので、アプリはAndroid OSとiOSにそれぞれ対応する(Android版は配信中、iOS版は近日配信予定)。

 サービス開始時点でaudiobook.jpで聴けるのは、FeBeのオーディオブックのうち約1万タイトル。『火花』(又吉直樹著)などのヒット作も対象だ。FeBeで販売しているオーディオブックの価格が単行本と同額の平均1200~1500円だということを考えると、月額750円で聴き放題はお得感が強い。オトバンク会長の上田渉氏は「これを機に、より多くの人にオーディオブックを体験してもらいたい」と意欲を語る。

■手をふさがず“ながら聴き”しやすい

 オーディオブックの利用者数が伸びている要因の一つには、スマホの普及でオーディオブックを気軽に持ち出せるようになったことがあるようだ。以前はパソコンなどにダウンロードしてオーディオプレーヤーに移さなければならなかったが、スマホならダウンロードしてそのまま聴ける。上田氏は「他のことをしながらでも聴けるのは大きい」と話す。本を持ったりページをめくったりするのに手を使わないので、電車移動中や入浴中、ランニング中、出かける前に身じたくをしながら、あるいはスマホでゲームをしながらなど、“ながら聴き”を楽しめるのが強みだ。

 最近のユーザーアンケートでは、子育て中の母親の利用が増えていることが分かったという。「お母さんが本を開いていると、子供が寂しがって邪魔をすることがあるそうで、本が好きなのに読めずにいたお母さんから『オーディオブックならスピーカーで再生しながら子供と遊べる』と喜んでもらえた」(上田氏)。

 FeBeでは、倍速バージョンのオーディオブックも聴ける。再生速度は0.5~4倍に対応しているのが特徴だ。「2倍速ならほとんどの人が訓練なしで聞き取れる。3倍速でも5分ほど聴いていれば耳が慣れる」(上田氏)。例えば、ビジネス書なら通常4~5時間かかるところを2時間程度で再生できるので、手軽に短時間で本の内容を頭に入れるのに適している。

 さらに上田氏は心理的な障壁の低さも指摘する。「本を読むのが能動的な行為なのに対し、オーディオブックは再生すると耳に流れ込んでくる。いわば受動的な読書が可能になる」。それによって、本に対するハードルが下がるのでは、というのだ。例えば、ゲーテの『若きウェルテルの悩み』は配信開始直後から売れ行き好調だ。「有名だが難解そうな本にも、オーディオブックでなら接してみようというユーザー心理が感じられる」(上田氏)。

 会員数の伸びをけん引するもう一つの要因が、コンテンツの質・量の充実だ。当初の品ぞろえはビジネス書が中心だったが、現在は小説やエッセーを含め、幅広いジャンルをカバー。1人で朗読している作品もあれば、ドラマCDやラジオドラマのように複数人のキャストがキャラクターを演じる作品もあり、多様な表現が取り入れられている。著者のコメントなどの特典音源を含め、本にはない魅力を加えられる強みもある。

 こうしたコンテンツの拡充が奏功し、FeBeでは、声優ファンや文芸好きの女性、高齢者など新たなユーザーを獲得できたという。「当初は8:2だったユーザーの男女構成比は現在、およそ7:3になっている」(上田氏)。ラジオなどでオーディオブックの存在を知った高齢者から「パソコンやスマホを持っていないが、どうしても聴きたい」という問い合わせを受け、ファクスで受注して銀行振り込みで代金を受け取り、スタッフが音源をCDに焼いて発送したこともある。サービス化はしていないが、ユーザーサポートの範囲内で、電子機器が苦手な人の利用を助けているという。

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最終更新:7/25(火) 7:47
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