ここから本文です

和歌山県の山奥、白塗りの不気味な男が「笑え笑え~」と囃し立てる謎の祭り

7/25(火) 18:00配信

BEST TIMES

「永楽じゃ、笑え笑え~、笑え笑え~」「ワッハッハ、ギャッハッハ、ヒッヒッヒ……!」山奥に爆笑が響きわたる。ピエロのような化粧をした男が神輿を従え、ひたすら笑い続ける祭りがあった。

白面の奇人が人々を爆笑の渦に巻き込む「丹生(にう)祭」

時季:例年10月体育の日直前の日曜
場所:和歌山県日高郡日高川町、丹生神社

「永楽じゃ、笑え笑え~、笑え笑え~」「ワッハッハ、ギャッハッハ、ヒッヒッヒ……!」
 山奥に爆笑が響きわたる。ピエロのような化粧をした男が神輿を従え、ひたすら笑い続ける――。

 ここ、和歌山県の山奥にある日高川町で行われる笑い祭りは、白塗りの不気味な笑い男がどこからともなく現れ、集落を爆笑の渦に巻き込んでいく祭りである。

 祭りの起源としては、こんな話が伝わっている。祭りの行われる丹生神社の祭神である丹生都姫命(にうつひめのみこと)が、あるとき神の集まる会議に参加しようとしたが、つい朝寝坊して出席できなかった。丹生都姫命が落ち込んで神殿に閉じ籠もってしまったので、心配した村人たちが「笑え笑え~」と囃し立てて慰めたという。

 日本では古来、笑いは邪気を吹き飛ばすものとされていた。『古事記』にも天岩戸(あまのいわと)の中に隠れてしまった天照大神(あまてらすおおみかみ)を、笑いで気をひいて外に連れ出すシー
ンが描かれている。

 笑い祭りは江戸時代に始まるとされているが、この奇矯な笑い男が出現したのは戦後のことである。化粧もかなり変遷してきて、かつては「天才バカボン」のような渦巻きを頬に描いていた。笑いは時代とともに移り変わる。笑い男は、常に新しい笑いに挑戦し続けてきたのだろう。

〈『一個人』2017年8月号より構成〉

監修・文:杉岡幸徳 写真:ライブラリー/芳賀日出男、小澤宏之、木原尚、木村敬司、 黒川敏子、下郷和郎、西島昭治

記事提供社からのご案内(外部サイト)

出版社ベストセラーズの編集者が作る「感情を揺さぶる」情報マガジン「BEST TIMESベストタイムズ」。