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「人類史上最高の物語のひとつとなった」 クリストファー・ノーラン、『ダンケルク』を語る

7/25(火) 8:00配信

リアルサウンド

 クリストファー・ノーラン監督が、9月9日に日本公開される最新作『ダンケルク』について語った。

 『ダークナイト』や『インセプション』など数々の話題作を発表してきたノーラン監督が初めて実話に挑んだ本作は、民間船までもが出動した“史上最大の救出作戦”を描いた作品だ。7月21日に公開を迎えた全米をはじめ、世界47カ国で初登場NO.1を記録。早くも興行収入1億ドルを超える成績を残している。

 初の実話ベースとなる作品で“ダンケルクの戦い”を描こうと思った理由についてノーラン監督は、「私は常にダンケルクの物語に魅了されてきた。イギリスの話で、イギリス人はその話とともに成長し、骨まで染み込んでいる。神話のように文化の一部になっているんだ。我々は逆境にあるグループや公共のヒロイズムや敵の優勢について語るとき、“ダンケルク・スピリット”のことを話す」と、長年魅了されてきたテーマだったと明かす。さらに、「この物語は近代映画で語られたことがない。そこがとても面白かった。映画監督は常に大衆文化のギャップを探しているからね。いまだに語られず、すでに語られているべきものを探す。ダンケルクの物語は人類史上最高の物語のひとつだ。この物語は降伏でも全滅でもない終わり方をしたことで、人類史上最高の物語のひとつとなった。素晴らしいサスペンスだよ」と満足げに語った。

 リアルな映像表現にこだわり、極力CGは使わないことでも知られるノーラン監督。今回もできる限りカメラで撮ることを意識したそうで、「CGは非常に影響力を持つツールであるが、ある種の限界がある。CGだと気付かれてしまう独特の感触というものがあるので、CGであるからこそ効果的に効く部分のみに使用するようにしなければならない。これまで観た映画の中の第二次世界大戦の映像には、CGと、大戦の歴史的な感覚の間に存在するとても居心地の悪い関係を感じていた。なので、この映画ではできるだけCGは使わないようにした。映画のなかで完全にCGであるショットはないはずだ。撮影したものすべてカメラで撮られたリアルなものである」と、CGについての考え方にも言及。ノーラン監督は、当時の小型ボートや、実際に使われた軍用艦艇と同じ形、大きさのものを用意し、実際に1940年にダンケルクで活躍した船たちを撮影のために再び呼び戻し、空には本物の軍用機も飛ばした。「このように、限りなくリアルな環境を提供したことは、俳優たちの演技にも貢献したと思う。製作側にとっても、撮影の時点で“本物”をカメラでとらえられれば、ポスト・プロダクションで加工する必要性が減り、よりリアルで新鮮な映像をつくりだすことが可能なんだ」。

 本作は、IMAX 65ミリとラージ・フォーマット65ミリ・フィルムの組み合わせで撮影が行われた。IMAXフィルムを使用した理由については、「現代の映画鑑賞という体験の可能性を最大限に引き出したいという思いからだ。観客が行ったことのない場所へ連れて行き、劇場にいる人全員で体感できる映画鑑賞こそが、私の考えるシネマ・エクスペリエンスなんだ。特にフィルムを用いたIMAX形式は、最も高い解像度を映し出すことが可能なので、3Dメガネを使わなくとも観客に“投入体験”を提供できる。IMAXフィルムは、映画の題材そのものを全面に引き出すことができる、一種の方法として私は考えている」と自身の考えを述べた。

 今年5月に行われた第70回カンヌ国際映画祭では、劇場公開されないNetflix作品について論争が巻き起こったが、ノーラン監督はフィルム撮影や劇場公開にこだわり続ける。台頭するストリーミングサービスについてノーラン監督は、「正直、私はこの傾向についてあまり考えたことがない。私には、映画は劇場に行って鑑賞するものだという定義がある。テレビやタブレットなどで鑑賞するために映画が製作されるとしても、それはそれで表現の自由だと思うが、私自身は劇場で観る映画のエクスペリエンスを大切にしている。だからこそ私が作る映画は、映画館で鑑賞するという経験を決定的で、忘れられないものにするよう心がけているんだ」と力強く語った。

リアルサウンド編集部

最終更新:7/25(火) 8:00
リアルサウンド