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堂安律を「ホームシックにさせない」。フローニンゲンの細かな心配り

7/25(火) 11:53配信

webスポルティーバ

 今から15年前、FCフローニンゲンにMFペドロ・カマタというアンゴラ生まれの若い左ウインガーがいた。彼はのちにコンゴ民主共和国代表に選ばれることになるが、当時はフランス年代別代表という肩書きを持っていた。

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 デビューマッチの衝撃は忘れられない。MFジェイ=ジェイ・オコチャを彷彿とさせるようなテクニックで相手を翻弄し、クロスから1アシストを決めたのだ。だが、そんなスーパータレントはホームシックという理由で、この1試合だけでフランスへ帰っていってしまった。

 当時のオランダのプロビンチャ(地方)クラブには、カルチャーの違う選手に対する接し方のノウハウがなかったのではないかと、今にして思うことがある。2005-2006シーズン、ヘラクレス・アルメロに所属していたFW平山相太(現ベガルタ仙台)に対し、サポーターたちのほうが「最近の相太は元気がない。俺たちで何とかしてやれる方法はないか?」と気を配っていたぐらいだった。

 7月22日、フローニンゲンvs.グラナダCF(スペイン2部リーグ)のプレシーズンマッチを訪れると、ノールトリース・スタディオンのプレスルームから、「ここで両チームの監督が試合後に記者会見を開くんです」というスタジアムツアーガイドの声が聞こえてきた。ツアーに参加しているのは、10人ほどの日本人グループだった。

 オランダには6000人から7000人ほどの日本人が住んでいると言われているが、その半数以上がアムステルダム周辺に集まっている。スタジアムツアー参加者のひとりがフローニンゲンに住む日本人について教えてくれた。

「フローニンゲンには100人ほどの日本人が住んでいます。大学がありますので、学生さんや駐在で務めている方、そして私たちのように国際結婚で住んでいたりとかです」

 サッカー界のトップタレントは若くして世界を舞台にして戦い、立派な稼ぎもあることから、同世代の若者と比べると驚くほど大人びている。そういう層の選手たちが諸外国からヨーロッパに渡ってくるので、私は「最近の若い者は立派だな」と感心することしきりなのだが、やはり時おり、精神的なもろさを露呈する選手もいる。

 U-20ワールドカップで活躍し、PSVやアヤックスからも誘われた堂安律は、6月30日にフローニンゲンで入団記者会見を行なった。物怖じすることなく快活に抱負を語る堂安をライブストリーミングで見ながら、「彼は海外でも困らないタイプの青年だな」と感じていた。

 しかし一方でフローニンゲンは、堂安がこれから困らないように先手を打ち、日本人の地域コミュニティとコンタクトをとって、「何か律に困ったことがあったら助けてやってほしい」と依頼していたという。フローニンゲンは彼らをグラナダ戦に招待し、試合前にスタジアムツアーを行ない、試合後には堂安と顔合わせをするという段取りを組んでいた。

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