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エアレース第5戦でまさかの大惨敗。室屋義秀の心身に何が起きたのか

7/25(火) 17:58配信

webスポルティーバ

 室屋義秀のなかでうまく回っていた心身の歯車は、ずいぶん前から、少しずつ狂い始めていたのだろう。

【写真】今季を戦う14人の超人パイロットたち

 レッドブル・エアレース・ワールドチャンピオンシップ第5戦。ロシアで初めてレッドブル・エアレースが開かれた歴史的な一戦で、室屋はブービーの13位に沈んだ。

 今季に入り、第2、3戦で連勝し、チャンピオンシップポイントランキング(年間総合順位)でもトップに立っていた室屋からは、考えられない惨敗である。

 これにより、室屋はチャンピオンシップポイントランキングでも、第5戦を制したカービー・チャンブリスにトップの座を譲り、2位に後退。1位から4位までがわずか2ポイント差のなかにひしめく、大混戦に飲み込まれてしまう結果となった。

 こんな――あまりに脆く、あまりに弱い――室屋を見るのは、久しぶりのことだ。

 今回と同じラウンド・オブ・14での敗退は、今季開幕戦でもあったことだが、当時は明らかなエンジンの不調という問題を抱えており、それを考えればやむを得ない結果だった。もちろん、エンジントラブル自体をミスと指摘することは可能だろうが、ことパイロットに関していえば、むしろ”負けてなお強し”を印象づけた開幕戦だったと言ってもいい。

 ところが、今回の第5戦はまったくいいところがないまま、あっけなく敗れ去った印象しか残っていない。少なくとも今季の室屋には、まったく見られなかった姿である。

 実は今回のレースで室屋がラウンド・オブ・14で敗れた裏には、天候悪化の影響があった。

 飛行機を用いるレッドブル・エアレースでは、レースエアポートとレーストラックとの間を移動するための空路が確保されている必要がある。万が一、それが断たれ、着陸できなくなってしまえば、いずれ燃料切れとなり墜落する恐れがあるからだ。

 そのようなリスクを避け、パイロットの安全を保証するため、仮にレーストラック上の天候は問題なくとも、レースエアポートとの間の天候が悪化して戻れなくなる可能性がある場合には、レースは中断される。あるいは、代替の着陸地が用意されることになっている。

 だが、今回のラウンド・オブ・14では、室屋がレーストラック脇でフライト順を待っている間、レースエアポートへの帰路が雲によってほとんどふさがれるという事態が起きていた。実際、室屋は上空を旋回する間、「これでは帰ることができないのではないか」と不安を抱えていた。

 結果的に、室屋はフライト後、レースエアポートにたどり着くことができた。だが、フライト直前には代替地への移動も考えなければいけないほど、切迫した状況に直面していたのは事実であり、室屋にしてみれば「命の安全を守ることが最優先であり、レースどころではなかった」のである。

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