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痴漢被害と痴漢冤罪に悩むすべての男女に、対応策の最新情報

7/25(火) 6:00配信

ダイヤモンド・オンライン

 痴漢は許せない卑劣な犯罪行為である一方で、やっていないのに疑われる痴漢冤罪もまた大きな社会問題となっている。特に満員電車で毎日通勤するビジネスマンにとって、いまや痴漢冤罪は女性の痴漢被害と同様に、大きな脅威。女性も男性も痴漢に悩んでいるのが実情だ。痴漢そのものをストップさせれば、冤罪も減るはず。その現状と対策法などを探った。(ダイヤモンド クォータリー編集部 前原利行)

● 痴漢冤罪!? 線路に逃げるケースが相次ぐ

 暑い日が続いている。夏になると、被害が増える犯罪の一つが痴漢だ。関東では19の鉄道事業者と警察が協力し痴漢撲滅キャンペーンを行っているが、今年はこれまでにない状況下での実施となった。

 今年3月以降、痴漢と疑われて駅のホームから線路に飛び降り逃走するケースが相次いでいるからだ(下記の一覧表参照)。駅のホームは人が多くて逃げにくいが、線路は誰にも邪魔されず逃げやすい。だが、痴漢事件を数多く扱っている弁護士の中村勉氏(中村国際刑事法律事務所代表)は次のよう話す。

 ◎痴漢と疑われて、線路などを逃走したケース(2017年、首都圏)

 3月13日 JR総武線 御茶ノ水駅
 3月14日 JR埼京線 池袋駅
 3月29日 JR埼京線 赤羽駅
 4月5日   JR埼京線 板橋駅
 4月13日 JR総武線 両国駅
 4月17日 JR埼京線 新宿駅
 4月25日 JR埼京線 板橋駅
 5月11日 JR京浜東北線 新橋駅
 5月12日 JR京浜東北線 上野駅 改札から逃走、近くのビルから転落死
 5月15日 東急田園都市線 青葉台駅 電車にひかれて死亡
 5月18日 JR京浜東北線 川口駅
 5月25日 JR埼京線新宿駅
 6月23日 JR埼京線赤羽駅

 「正当な理由がなく線路内に立ち入ると鉄道営業法違反となり、逃げる際に乗客に接触して怪我をさせると傷害罪、暴行罪となる可能性があり、電車を止めてしまった場合は威力業務妨害罪などに問われ、巨額の損害賠償請求をされるリスクがあります」

 痴漢と間違われて駅事務室に行くと、そのまま警察に引き渡されて逮捕、最長23日間身柄を拘束されるといったケースがインターネット上で紹介されている影響も大きい。場合によっては、仕事や社会的信用を失い、家族が離散することもある。2007年に公開された周防正行監督の映画「それでもボクはやってない」で、痴漢冤罪の恐怖が広く知られるようになった。

 だが、1990年代前半までは、痴漢が重い犯罪だという認識がなく、対策も十分にされていなかった。そうした風潮を変えるきっかけになったのが、1988年11月、大阪市営地下鉄御堂筋線で起きた事件だ。

● 「痴漢は許せない犯罪」という認識へ きっかけとなった地下鉄御堂筋事件

 ある女性が電車内で痴漢をしている二人組を見つけ、被害女性のスカートのジッパーを上げて逃がしてあげた。その際に男性の顔を見たら、半月前、自分に対し痴漢をした男とわかったため、「前にも会ったでしょう」と注意したところ、逆恨みされた。

 「コンクリート詰めにして南港(大阪湾南部にある港)に放り込んだろか」などと脅されて引き回された末に、マンションの建設現場に連れて行かれノコギリで脅されながら強姦されたのだ。

 事件の報道があった直後に、痴漢に声を上げたら何をされるかわからない、痴漢を目撃した周囲の乗客も手助けできなくなると、女性たちが立ち上がり「性暴力を許さない女の会」が発足する。

 鉄道会社も警察も、痴漢を小さな暴力、迷惑な行為ぐらいにしか受け止めていなかった。痴漢した側には「優しく触っているのだから暴力に当たらない」「触られた女性も喜んでいる」といった認識さえもあった。

 「女の会」は大阪市交通局に「車内広告やアナウンスなどで積極的なPR活動をする、駅員を増員し、女性の性暴力被害を防ぐとともに、被害があった場合は迅速な対応を行なう」などの要望書を提出し、関西の私鉄各社にも同様の要望書を送付したが、対応は遅かった。二人の被告に対し懲役4年を求刑し、3年6ヵ月の判決が下されたが、刑が軽すぎると抗議集会も行っている。

 「痴漢は犯罪です」というポスターが駅構内に貼られるようになったのは1995年のことである。

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