ここから本文です

習近平が内外に見せる強権支配はいずれ「しっぺ返し」を受ける

7/25(火) 6:00配信

ダイヤモンド・オンライン

 例によって中国では、秋の共産党大会を控え、権力闘争が熾烈を極めている。2期目の政権運営を狙う習近平国家主席は、政治ライバルへの取り締まりを強め、主要ポストに自分の息のかかった人物を据える一方、対立する大物政治家を追い落とす姿勢を明確にしている。

 権力闘争とは恐ろしいものだ。そうした中国の闘争を見ていると、日本という自由で平和な国に生まれてよかったとつくづく思う。

 既に習近平は“中国建国の父”である毛沢東をも上回る権力を手に入れ、終生、中国を支配していこうとさえ見える。今後、同氏は財政出動を中心に国内経済の安定を図り、支持率の一層の上昇を図ることだろう。

 一方、対外的には中国の力の外交を推し進めることになるはずだ。中国は、近隣諸国にとっては実に付き合いにくい国になってしまった。ただ、中国の南シナ海での強権的な政策は明らかに間違っている。長い目で見ると、中国が永久にアジアの中心として君臨することは考え難い。いずれかの段階で、現在の強権的な政策に対する"しっぺ返し"を受けることになるはずだ。

● 熾烈な権力闘争 重慶市トップ拘束の衝撃

 習氏は2012年の総書記就任以来、綱紀粛正を掲げ、政治的ライバルの“摘発”を行ってきた。これまでは、江沢民元国家主席や胡錦濤前国家主席らに近いとされる人物が、現役を退いた後に摘発されることが多かった。

 ただ今回は事情が違う。重慶市トップの座を解任された孫政才氏は、現職の政治局委員だ。重慶市は共産党の直轄都市であり、発展の象徴である国家中心都市に指定されている。そのトップは25人からなる政治局委員が就任することと決められている。

 中枢都市トップの更迭と身柄拘束の報道は、習氏が従来の共産党の運営方針を根本から書き換え、自らを中心とする支配体制の整備に力を入れ始めたことの表れかもしれない。それは、習氏の権力を、これまでになく高い次元に昇華させることを目指した動きといえる。

 今後、習氏の息のかかった人物がその後継者候補に挙がるなど、国家主席を中心とした支配体制が強化されていく可能性は高い。習氏が権力闘争を民衆の目に見える形で進め、その支配力の強大さを誇示する展開も考えられる。

 中国共産党に詳しい専門家によると、孫氏の解任を受けて、共産党内部にはこれまで以上に習氏に対する畏怖が広がっているようだ。地方の党大会では、中央委員や、その候補にも挙がっていない末端の党員が、地方トップなどの要職に抜擢された。“御恩と奉公”さながらに、習氏は序列の低い党員の登用を進め、求心力と支配力を強化している。

 “紅二代”(建国に貢献した共産党や軍幹部の子)への取り締まりも始まった。従来、紅二代は綱紀粛正の対象とはならないとの見方が多かった。しかし、保険会社のトップを務めていた紅二代の一人が摘発された。それに加えて、現職の政治局委員の身柄が拘束されたことも踏まえると、習氏は、自らに忠誠を誓わない者は排除する意思を、明確に、中国全土に示したといえる。

 昨年10月の6中全会において、習国家主席は中国共産党の核心に位置付けられた。足元では国営通信社が習氏を軍の“最高統帥”と報じてもいる。突き詰めて考えると、習氏は、終生、中国の支配者であることを目指し始めたようにさえ見える。そこには毛沢東に並び、それを超える力を手に入れようとする野望があるように見える。

● 支持率上昇を狙う 習政権の財政政策出動

 習氏は党の核心である自らを中心に、中国共産党=国家の意思決定を行い、シルクロード経済ベルト(一帯)、21世紀海上シルクロード(一路)を通して、その影響力をアジア、アフリカ、欧州地域にまで及ぼしていこうとしている。中国は長期的な国家プロジェクトとして、自国を中心とするヒト・モノ・カネの流れを整備し、海外の需要を取り込むことを狙っているのである。

1/3ページ

記事提供社からのご案内(外部サイト)

特集 自衛隊 防衛ビジネス
本当の実力
特集2 支持率低迷で正念場
徹底検証アベノミクス