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「『パドルの子』は思春期の自分にケリをつけるための作品」――ポプラ社が全力で送り出す期待の新人・虻川枕インタビュー

7/25(火) 11:00配信

ダ・ヴィンチニュース

 〈春は化け物。二年生になった初日の朝、水無月中学の生徒たちは、こぞってこの化け物にやられていた〉。第6回ポプラ社小説新人賞の選考会をにぎわせた、この書き出しから始まる小説『パドルの子』。文章は粗いが、光るセンスと圧倒的なオリジナリティで、この作家を育てていきたい、世にはばたかせたい。と、編集者たちをうならせた著者・虻川枕さんを招いた授賞式が、7月7日に開催された。授賞式を控えた虻川さんに、作品にこめた想いを語っていただいた。

『パドルの子』は思春期の自分にケリをつけるための作品

――本作は、ぼっち生活を送る中学2年の耕太郎がある日、学年一の美少女・水原が屋上の水たまりに“潜る”という不可思議な現象を目撃するところから始まる、ボーイミーツガール・ファンタジーです。まずこの設定はどこから?

虻川枕(以下、虻川) ぼくはもともと脚本家志望で、この作品も『週刊少年ジャンプ』のマンガ原作に応募しようと思って思いついた設定なんです。ジャンプをキーワードに考えたとき、大きな水たまりをジャンプして越えようとする不思議な少年、というのが浮かんで。水たまりを英語辞書で引いてみたらパドル、そこには混乱という意味もあるとわかった。ジャンプするよりは潜るほうが意外性もあるし、潜ることで世界が少しずつ混乱していく物語が書けたら面白いんじゃないかな、と構造を考えていくうちに、これは脚本よりも小説で書いたほうが表現の幅も広がるのでは、と感じて書き始めました。

――え、ということはこれ、はじめて書いた小説なんですか? それであの書き出しを?

虻川 そうです。最初に書き上げたときはやっぱり不安だったので、文芸学科の友人に読んでもらったんですけど(※虻川さんは日本大学芸術学部映画学科脚本コース出身)、そのときに「小説は最初の一文が大事だよ」と教えてもらって。作中で四季の話を書いていたので、そこから引っ張ってきました。インパクトの強い文章で、少しでも心を掴めたらいいな、と。

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