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女子への「天然」という言葉は、はたして褒め文句なのか、貶し文句なのか?【山田ゴメス】

7/25(火) 16:00配信

週刊SPA!

 Yahoo!ニュースのトップ面をスクロールしていたら、ちょっと理解不可能な恋愛マニュアルに遭遇した。働く堅実女子のためのリアル診断・相談サイト『Suits-woman.jp』ってところが配信したもので、タイトルには『【恋愛講座】これぞモテ女!「天然女子」の特徴』と打たれている。

 なんでも「本人は認めていないけど、周りは天然としか思えないようなふわふわとした女性が、男子にとってはたまらない」らしい。この時点で、早くも日本語自体がちょっと怪しいのだが(※「周りは」ではなく「『周りには』天然としか『思われていないような』」のほうが◎)、とりあえずは当該講座で言うところの「天然女子」の特徴やらをみてみよう。

・人ががんばっていることを素直に認められる

・どんなときもマイペース

・喜怒哀楽がはっきりしていて付き合いやすい

・自然に相手に対して気を遣える

……とあった。どれもこれもがもう間違いだらけである。コレって、ただの「気配りの利くイイ子」じゃないか。なかでも看過できないのが「喜怒哀楽がはっきりしていて~」のくだり。「ただし、『喜ぶ』『楽しい』以外の感情を見せすぎないように気をつけて!」なんて“警告”が書かれてあった。全然「喜怒哀楽がはっきり」していない(笑)。むしろ「天然」とは真逆の「計算高さ」を推奨している。「天然」の概念からして、すでにはき違えているのに、その上に論理が二重三重で破綻しているのだ。

 今でも「天然」をやたら引っ張り出してくる輩は少なからず実在するが、僕はこの「天然」という形容で(とくに女性の)対人印象を安易にくくってしまう行為がとても嫌いだったりする。たとえば「養殖」だとかの人的な工夫が加えられていない魚が貴重で高値がつくのと同様、人間の「天然モノ」も稀な確率でしか出会えないのが本来だからである。

 この“養殖理論”に当てはめると、「天然な人間」とは、幼いころからの教育や社会関係といった外的環境から一切切り離された人、あるいは一切それらを受け入れられなかった人のことを指す。ゆえに、空気を読めない……どころか、空気がどんなものかすら知らない――そんな恐ろしい人たちのことなのである。極論すれば「顔色一つ変えずに人を殺せる生まれながらの殺人鬼」クラスの“一種の狂人”にしか使用すべきではない単語だと考える。

 まあ、ここまで極端な例ではないにせよ、多くの男子が女性に対して「キミって天然だよね」と決めつけるとき、たいがいそのニュアンスにはネガティブな要素が含まれている。「このヒト、よくわからない…」「これ以上わかりたくもない…」といった思考停止におちいった際に、「天然」はじつに便利であり、そして一部のグルマンや好事家を除く大半の“庶民”は、「お金がかかって、どんな寄生虫がついているかもわからない天然の魚より、養殖の保護下で育てられた魚」のほうが安心して食することができるのではないか。

 「天然」をやたら引っ張り出してくる輩が少なからず実在するいっぽうで、「天然」と呼ばれることを「まんざらでもない」と感じているフシのある女性も、信じられないことに少なからず実在する。

 僕に言わせれば、「天然」と呼ばれがちな女性、すなわち「天然」の一言で片付けられてしまう女性は、水族館にいる、南米あたりから捕獲してきた奇抜な色の熱帯魚みたいなもので、「水槽内(=自分のテリトリー外で)で泳ぐ姿を見ているぶんには楽しいかもしれないけど、食べるのはちょっと勇気が…」と、恋愛対象からは外されがちである事実をもっと危惧すべきであり、恋愛マニュアルにおいては、

 男子から「天然」扱いされたら要注意!

……とするのが正解なのである。

【山田ゴメス】

1962年大阪府生まれ。マルチライター。エロからファッション、音楽&美術評論まで幅広く精通。西紋啓詞名義でイラストレーターとしても活躍。日刊SPA!ではブログ「50にして未だ不惑に到らず!」http://nikkan-spa.jp/gomesu(PC版)も配信中。著書『クレヨンしんちゃん たのしいお仕事図鑑』(双葉社)

<取材・文/山田ゴメス>

日刊SPA!

最終更新:7/25(火) 16:00
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