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失敗、挫折……あらゆる経験を生かせるのが人材ビジネス 営業からの叩き上げトップとして日本法人でグループの先頭に立つ~マンパワーグループ株式会社 代表取締役社長 池田 匡弥さん(前編)

7/26(水) 7:30配信

日本の人事部

マンパワーは世界でも日本でも、人材派遣サービスの代名詞と言えるほどの歴史とブランド力を持つ企業。グローバルカンパニーらしく、これまでの日本法人の歴代トップはアメリカ人か、社長候補としてスカウトされたキャリアのあるビジネスパーソンが務めてきました。しかし、2014年に社長に就任した池田匡弥さんは、中途採用で入社し、一営業職からの叩き上げで抜擢された、同社としてはかなり異色の経歴を持つリーダー。池田さんは同社を人材派遣会社から、多彩なHRソリューションをフルラインアップで提供する総合人材サービス企業へと大きく変えつつあります。インタビューでは、運命的ともいえるマンパワーとの出合いや日米両国で取り組んだ人材ビジネスへの熱い思い、さらには経営者として大切にしている座右の銘、現在の人材サービス市場の分析や人材業界で働く若い方々へのメッセージまで、多岐にわたってお話をうかがいました。

「あなたのような人を待ってたんだよ!」――運命的なマンパワーとの出合い

―― マンパワーには中途で入社されたとお聞きしました。それまではどのようなキャリアを歩んでこられたのでしょうか。

私が学生時代を送ったのは1980年代。日本経済が好調で、就職に関してはほとんど苦労することがない、ありがたい時代でした。複数の大手企業から内定をもらい、その中からサントリーを選びました。最初の配属は原料部。商社と組んで世界中から麦芽やホップなどを調達する部署でした。国際的な環境で、花形部門の一つです。でも、同期で集まると、営業部で活躍している仲間からいろんな武勇伝を聞かされます。やがて「自分も攻めの仕事がしたい」と思うようになり、3年目に上司に直訴して営業に異動させてもらいました。

営業部では、ビールの一般酒販店ルートを担当しました。ちょうどバブル経済が崩壊した直後で、景気は悪いし、酒類販売の規制緩和が進んで、酒販店のシェアがスーパーやコンビニ、ディスカウンターに奪われていった頃でした。それでも一生懸命営業していると、こちらの状況を察して、まとまった注文をくれるオーナーさんもいました。申し訳なくて、週末になるとエプロンをして、店頭に立って販促を手伝うこともありました。小売店との気持ちのつながりはありましたが、それが商品の売り上げに結びつかない矛盾も感じましたね。いつしかその思いが「中小事業者の経営そのものをバックアップするような仕事がしたい」という気持ちに変わっていきました。

―― そこで最初の転機が訪れたということでしょうか。

そうですね。「経営コンサルタントとして起業したい」と考えて、5年間在籍したサントリーを退職しました。ところが一個人になってしまうと、何もうまくいかない。大企業の看板を背負っていた自分を過信していたんですね。若気の至りだったと痛感させられました。普通に考えると、20代の若者がいきなり経営コンサルタントを開業することは、決して簡単なことではありません。そこで、まずは基本から勉強しよう、と公認会計士や中小企業診断士の勉強を始めますが、合格するまでに大変な時間がかかることがわかりました。

そうこうするうちに、資金も底をついてきます。まさにどん底です。何の組織にも属さない自分の無力さを知り、完全に自信も失って……。数々の失敗を繰り返した状態が3~4年続きました。

―― マンパワーとの出合いの前にはそんなご苦労があったのですね。入社のきっかけはどんなご縁だったのでしょうか。

組織に属して一から出直すしかない、そう決心して転職情報誌を手に取りました。そこでたまたま最初に目に入ってきたのが、マンパワーだったのです。すでに30歳を過ぎていましたし、「こんな自分を採用してくれるんだろうか」と思っていたのですが、営業募集、未経験者大歓迎とあったので、「ひょっとしてここなら」と思ってすぐに電話しました。面接ではサントリー退職後は挫折続きだったことも正直に話して、「でも挑戦する気持ちだけは誰にも負けません」と自分の気持ちを伝えました。

その時、面接担当の人事の方に言われたのが、「いや、あなたのような人を待っていたんだよ!」という言葉だったんです。思わず「私みたいな人間でいいんですか」と聞き返しました。その答えは「人材ビジネスでは、多種多様な人材と接することになる。さまざまなバックグラウンド、立場、人生を経てきた人たちがいる。だから右肩上がりだけで生きてきた人よりも、あなたのような挫折を経験した人のほうが共感できて、一緒になって取り組めるんですよ」というものでした。それを聞いて本当にうれしかったですね。人材ビジネスや派遣についてはほとんど知らなかったのですが、ここでなら、もう一度活躍できるかもしれないと思いました。「そういう状況ならすぐ来られるよね」とも言ってもらって、さっそくその翌週から出社することになったのです。

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最終更新:7/26(水) 7:30
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