ここから本文です

共青団ホープ・孫政才、北戴河会議直前に失脚のワケ

7/26(水) 11:21配信

Wedge

 ポスト習近平の有力候補の1人だった重慶市トップの孫政才氏が失脚した。孫氏は53歳と若く、胡錦濤前国家主席の流れをくむ共青団のホープだった。7月末から8月初めにかけて、長老らも参加して十九大(第19回党大会)前の意見交換を行う北戴河会議を目前にした大物の「落馬」は何を意味するのか。

 7月15日、新華社通信が孫氏を市党委員会書記に再任しないと報道した。翌16日には香港メディアが重大な規律違反の疑いで共産党中央規律検査委員会の調査を受けていると報道。そして24日、新華社通信が党中央が重大な規律違反の疑いで調査を行うと決定したと報じた。

 孫氏は中国共産党政治局で最年少の委員だった。同じく最年少のもう1人は、ポスト習近平の最有力候補ともいうべき共青団の胡春華氏(広東省党委書記)だ。この2人はともに十九大での政治局常務委入りが有力視されていた。

薄熙来事件の事後処理が不徹底だったか

 孫氏は農業部を経て、吉林省委書記となり、12年の十八大で政治局委員となった。特に温家宝前首相との結びつきが強いことで知られ、これまでとんとん拍子で出世してきたといえる。重慶では、12年に失脚した薄熙来氏のいわば事後処理に当たってきた。同じ共青団の胡氏に比べ、任地の悪さもあって成果が上げられていなかった部分はある。ところで、今回、調査対象とされた原因はいったい何なのか。

 まず指摘されているのは、重慶での薄熙来事件の事後処理が不徹底だったとされていることだ。今年2月には、党中央から派遣される巡視組にかなりの批判を加えられ、その様子が2月13日、人民日報の運営する人民網で報じられている。

 「党のリーダーが弱く、責任感が弱く、習近平総書記の重要講話の精神を学び通すのにはギャップがあり、……『薄(熙来)、王(立軍)』思想の残した害毒を除去できておらず、……巡視組は一部リーダー、幹部の問題の手掛かりをつかみ、すでに規定に従って、中央規律委員会、中央組織部などの関係部門に処理するよう伝えた」という具合に、散々な批判のされようだった。

 その後、「『薄、王』思想の残した害毒を一掃する」という言葉は、孫氏自身も繰り返し使ってきたことが地元紙の重慶日報で報じられている。後任に抜擢されたばかりの陳敏爾氏は、ことさらこの言葉を強調しており、失脚の主因かどうかは別として、事後処理のまずさが政敵を利したことは間違いない。

 加えて4月、重慶市の副市長兼公安局局長の何挺氏が重大な規律違反で調査を受けていると報道されていた。6月には何氏の免職が公表された。孫氏とは相当親しかったとされ、その汚職が影響したとの指摘もある。

 7月16日に孫氏が調査を受けていると報じた北米の華字メディア「世界日報」は、消息筋の話として、14日に北京で会議が開かれていた際に、厳重な規律違反の名義で北京に留置され、調査を受けていると紹介している。また、こうも伝える。

 「消息筋によると、孫政才の調査を受けている原因は妻の胡穎と関係があった可能性がある。原因は、孫氏の妻と先に失脚していた中国共産党の前中央統戦部長令計画の妻の谷麗萍がどちらも民生銀行の夫人クラブのメンバーだったこと。しかし、今までのところ、当局が孫政才と妻の具体的な嫌疑の内容を把握しているかは明らかではない」

 夫人クラブについては、人民日報のウィチャット(WeChat)公式アカウントが4月、「夫人クラブ、銀監会(中国銀行業監督管理委員会)はあなたたちに目を付けた」との記事を掲載した。中国の金融界に存在する高官の夫人クラブでは、その名の通り高官の妻を招へいし、高い報酬で応じていた。その中の一つの民生銀行の夫人クラブは令計画の妻を筆頭に、政治的に問題になった人物の妻が多く属していた。

 こうした原因に加え、在米華字メディアの多維新聞は7月24日、「このほか、孫政才の落馬はあるいは2002年から2006年に北京市委秘書長をしていた際に法を犯し規律を乱した行為と関係があるのではないかとのうわさもある」と伝えた。

1/2ページ

最終更新:7/26(水) 11:21
Wedge

記事提供社からのご案内(外部サイト)

月刊Wedge

株式会社ウェッジ

2017年10月号
9月20日発売

定価500円(税込)

■特集  がん治療の落とし穴 「見える化」で質の向上を
・玉石混交のがん治療
・質を競い合う米国の病院
・効果不明瞭のまま際限なく提供される「免疫療法」の〝害〟