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日本一過酷な通勤電車「東急田園都市線」の混雑率を20%減らす方法 たった一つの工夫で「快適」が生まれる

7/26(水) 7:01配信

現代ビジネス

長年の課題だった「時差通勤」

 この夏、小池百合子都知事は、通勤電車の熾烈な混雑を緩和するために、「時差Bizムーブメント」を仕掛けた。最混雑1時間に集中する旅客をその前後に拡散することで、ピークの混雑率を低下しようというのである。

 昭和40年代、首都圏では国鉄の複々線化が相次ぎ完成し、地下鉄の開通により郊外私鉄との相互直通運転が拡大したころ、さらにその設備投資の効果を高めるために企業に対して「時差通勤」の働きかけが行われた。

 通勤電車のダイヤは、最混雑時間帯に最大の本数を集中させるために、その前後の輸送力が大きく低下していた。近郊駅(たとえば千葉駅)では、7時台には5分間隔で電車が発車したのに対して、9時台には10分以上の間隔が空いていた。

 毎年、車両を大量に投入して編成両数の増加や増発で輸送力を充実させたが、予算が限られるため、各路線にまんべんなく配分して、増加する旅客の波に対抗していた。車両数が限られるため、その車両のほとんどを最混雑時に集中させ、しかも都心に近い区間により多くの列車を運転するためいわゆる「たけのこダイヤ」が組まれた。

 このため、近郊駅では最混雑時が終わると急に運転本数が減少したのである。時差通勤の受け皿がいささか頼りなかったのである。

 線路施設の容量は最混雑時のピーク輸送量に合わせて整備する必要があるが、ピーク時の旅客の集中率を下げれば、大規模投資をしなくても既存の施設で輸送力を増やすことができる。国鉄は、企業や学校に「時差通勤・通学」をアピールするとともに、ラッシュ後の輸送力増強を積極的に推進した。

 首都圏の国鉄の通勤路線では、昭和50年代以降は、複々線化などが完成した路線(たとえば常磐線各駅停車、総武線快速)に新車を集中投入することで捻出された車両を各路線に配分して、車両の需給関係に余裕がでてきていた。

 さらに昭和の末期には、特急用の車両を使って、ラッシュ前後に着席輸送サービスとして若干の料金を徴収する「通勤ライナー」が各路線に登場していった。座りたい人は、追加料金を払えば着席通勤ができるという選択肢が提供された意味は大きい。

 しかし、このような列車は輸送力としてはわずかであるため、線路容量の限られる線区では、混雑緩和のために普通の列車に置き換えられた。時期尚早だったのである。

 今日、長い間「時差通勤」の取り組みが続けられた結果、最混雑時の混雑率は大きく改善した。昭和30年度には定員の3倍の路線があったが、昭和50年代には200%台前半まで改善し、現在は一部の混雑路線を除いて180%を下回っている。

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最終更新:7/26(水) 11:06
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