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ダウン症の兄の日常を描く『ヒロのちつじょ』―ダウン症の人の生活ってどういうもの?【インタビュー 前編】

7/26(水) 6:30配信

ダ・ヴィンチニュース

 障がい者施設「やまゆり園」で起こった、あの忌まわしい事件から1年が過ぎた。今でも犯人への憤りとともに、記憶に残っている人も多いことだろう。

 しかし一方で「とはいっても実際、障がいを持つ人とどう接していいかわからない」という健常者も多い。ましてや家族の1人がダウン症だったとしたら、他の家族は一体、日頃どんな思いをしているのだろう……?

 好奇心もあって、ダウン症の兄の日常をまとめた『ヒロのちつじょ』(太郎次郎社エディタス)を手に取った。著者の佐藤美紗代さんが大学の卒業制作で作った電子書籍がベースで、ヒロこと兄の佐藤洸慧(ひろえ)さんの「あさ」「ひる」「よる」の行動が、イラストとともに紹介されている。

 ヒロは「気前の良さは一人前」で、大好きな食べ物でも「いいよ」とひと口分けてくれたり、鏡に異様な嫌悪感を示して決して見ようとしなかったりと、独特の癖やこだわりを持っている。そしてそこには、言葉で気持ちを伝えることができない「ヒロなりの秩序」があるのだという。現在はソーシャルワーカーになるためにカナダに留学している佐藤さんに、ダウン症のヒロの世界について教えてもらった。

周りの「兄を知りたい」が、描いた理由

 佐藤さんは武蔵野美術大学基礎デザイン学科を卒業している。しかし3年生まではソーシャルワーカーになることや、ダウン症の兄についての本を作ることは考えたことがなかったそうだ。

 「4年になって卒業制作を作ることになって、『自分の課題って何だろう?』とふと思った時に、ヒロの存在が浮かんできて。私ができることは、ダウン症の兄のような人に向けたデザインを考えることじゃないかなって思ったんです。

 だから卒業制作も最初はダウン症の人向けのデザインを考えようと思っていたのですが、ゼミの仲間や教授から『ダウン症の人の生活ってどういうものなの?』と聞かれて、ヒロの1日を描いてみようと思いました」

・カレーや丼は上の層から食べる
・歯磨きが嫌い
・洗濯物をたたむときは、折りたたむ前のパサッと伸ばす行為が好きなようで何度も繰り返す
・しかしその後は見もせずにパタパタと、適当に折っていくだけ
・タオルも下着も靴下も、繊維一本で洗濯バサミに挟む技を持っている
 など、家での過ごし方や、平日に通っている障がい者施設での様子などが、シンプルながらもコミカルなイラストで描かれている。その行動のひとつひとつに個性があり秩序があるのだと、佐藤さんは語る。

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