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東海大菅生が日大三に完勝した舞台裏。綿密なシナリオで早実も標的に

7/27(木) 11:20配信

webスポルティーバ

 5対0――。

 この試合を見た者であれば、この勝敗が決して番狂わせなどではなく、がっぷり四つに組んだ末の結果であることは十分に感じられたはずだ。

【写真】山本昌は、櫻井周斗をこう評価していた。

 今夏の西東京大会、早稲田実業と並んで優勝候補の筆頭格に挙げられていたのは、早実の後塵を拝してきた日大三だった。投打に超高校級の素材であるエース左腕・櫻井周斗に、爆発的な飛距離を誇るスラッガー・金成麗斗(かなり・れお)、強肩強打のリードオフマン・井上大成、高校トップクラスの強肩捕手・津原瑠斗(つはら・りゅうと)らを擁し、戦力的には早実をしのぐと見られていた。そんなチームが西東京大会準々決勝で、東海大菅生に完敗を喫したのだ。

 両校は春の東京大会4回戦でも対戦しており、その際は日大三が4対3で勝利を収めている。しかし、敗れた東海大菅生もまた、衝撃を与えていた。この試合で東海大菅生は5人もの投手を次から次へと投入し、その全投手が高い能力を発揮したからだ。

 チームを指揮する若林弘泰監督は試合後、こう語っていた。

「負けましたけど、収穫はありました。どのピッチャーがどういう感じで投げられるか、その線引きができたかな。5人全員がいいので、誰がエースなのかわからないくらい。それが逆に弱みになっているのかもしれませんが」

 先発した将来性の高い左腕・中尾剛(2年)は1回1/3を投げて4失点と力を発揮できなかったものの、以降の4投手は日大三の強打線を無失点に封じた。そして4番手で登板し、2イニングを無失点で抑えたのが3年生右腕の松本健吾だった。

 松本は当時の対戦をこう振り返る。

「櫻井にいきなりツーベースを打たれましたが、それ以外は抑えられたので自信になりました。強気でいけば、いくら強打の三高でも抑えられるなと」

 6月17日に夏の西東京大会の抽選会が開かれ、お互い順当に勝ち上がれば東海大菅生は準々決勝で日大三と再びあいまみえることが濃厚になった。その時点で、若林監督は「三高戦は松本でいこう」と決めていたという。

「練習試合をするなかで松本が一番安定していたので、最初のヤマは松本でいこうと思っていました。準々決勝からさかのぼって、先発の順番を決めていきました」

 そして松本は、若林監督の期待以上の投球を披露する。時には140キロを超えるストレートに、空振りを奪えるスライダー、フォークを交えて、初回から三振の山を築いた。日大三の津原は、松本の投球を「春の印象よりもずっと良かった」と口にする。

「(高めに)浮く球がほとんどなくて、低めを意識させられました。キャッチャーも徹底的に低めを要求していて、ウチの打線はワンバウンドの変化球を振らされることが多くなってしまいました」

 日大三は春のセンバツ初戦で履正社に敗れた経験から、低めの変化球の見極めをテーマに取り組んでいた。それでも、松本の鋭いスライダー、フォークに対してバットが止まらなかった。

 その背景には、東海大菅生の正捕手・鹿倉凛多朗(しかくら・りんたろう)の計略もあった。

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