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欅坂46はまだまだ面白くなるーー『欅共和国 2017』に感じたグループの真骨頂と課題

7/27(木) 12:29配信

リアルサウンド

 欅坂46が初の野外ワンマンライブ『欅共和国 2017』を7月22日、23日に富士急ハイランド・コニファーフォレストにて開催した。漢字欅(欅坂46)、ひらがなけやき(けやき坂46)が揃いステージに立つ単独公演は、今年4月6日に国立代々木第一体育館で実施された1stアニバーサリーライブ以来。7月19日には待望の1stアルバム『真っ白なものは汚したくなる』がリリースされたばかりとあって、2日間で合計2万5000人を動員した。本稿ではこのうち、7月23日公演について記す。

 けやき坂46の全国ツアーを除けば、欅坂46としての本格的なワンマンライブは昨年12月24日、25日の有明コロシアム公演と、今年4月のアニバーサリーライブのみ。比較対象が少ないものの、初のワンマンライブとなった有明コロシアム公演がファンの間で伝説的なステージとなっているだけに、いかにこのライブを超えていくかが大きな鍵と言える。また、有明公演では当時の持ち曲(シングル3作分)すべてを披露したものの、続く代々木公演ではそれプラス4thシングル『不協和音』収録曲、しかもリリース順に披露していくという特殊な構成だったため、なかなか比較が難しいところがあった。

 さらに、今回の野外ワンマンライブは8月2日からスタートする欅坂46初の全国アリーナツアーの前哨戦的なもの。彼女たちはツアーのほか、『ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2017』『SUMMER SONIC 2017』といったロックフェスへの出演も決定しており、今回の2公演を成功させることで今後の活動を勢い付けたいという思いも強かったはずだ。

 そんな欅坂46にとって初の野外ワンマンライブ。筆者は注目ポイントをいくつか用意して、今回のライブに臨んだ。

(1)今泉佑唯の不在がもたらすもの
(2)けやき坂46の躍進
(3)明るい野外でどのような演出を用意するのか
(4)アルバム曲の増加によるセットリストの可能性

 まず(1)についてだが、これはつまり、小林由依とのユニット“ゆいちゃんず”の楽曲が披露できないことを意味する。彼女たちのフォーキーな楽曲が長丁場のライブ中で程よいアクセントとなっていただけに、ライブの進行に大きな影響を与えることは間違いない。(2)については、漢字欅よりひと足先に全国ツアーを実施中のひらがなけやきが、ライブを通じて実力や存在感を急激に高めていることが、このライブでどのような影響を与えるのか。(3)は単独公演で屋内ならではの暗闇を効果的に演出として用いたステージングが、まだ明るい野外でどう変化するのかについてだ。そして(4)は、これまでにない組み合わせのユニットが複数誕生し、また楽曲的にも既存のイメージを覆すような新機軸が展開されたアルバム『真っ白なものは汚したくなる』の誕生により、ライブの構成や見せ方に複数の選択肢が生まれたこと。こういった要因が、この野外ライブにどのように作用するのかが非常に気になっていたのだ。

 さて、実際のライブだが、“欅共和国”というライブタイトルにちなんだ、非常にコンセプチュアルなオープニングとエンディングが用意されていた。通常欅坂46のライブは「Overture」と題したオープニングSEから始まるのだが、今回はちょっと構成が異なった。まず壮大なマーチに合わせて、マーチング隊をイメージした衣装を身にまとったメンバーがステージに行進しながら入場。中央に平手友梨奈を据え、他のメンバーはフラッグを使用したマーチングパフォーマンスで会場を湧かす。そしてアリーナ後方からステージに向けて運ばれた2つの欅共和国国旗がステージ後方に吊るされると、メンバーはステージから捌ける。共和国の祝祭がこれから始まると言わんばかりのオープニングに会場がどよめくと、ここで改めて「Overture」が流れ始める。そこからステージ衣装に着替えた欅坂46のメンバー(この2公演は米谷奈々未が学業のため欠席)が再登場し、「サイレントマジョリティー」からライブをスタートさせた。

 曲のスタートと同時に驚かされたのが、ステージ前方に高々と噴きあげる水柱の存在だ。曲の進行にあわせて、すさまじい量の水柱が効果的に噴き上がり、メンバーは観客を濡らしていく。しかし、メンバーはこれに臆することなく、凛とした表情でキレキレのダンスを展開。そのまま「世界には愛しかない」「二人セゾン」と、大ヒットシングル3曲を冒頭で惜しみなく披露して、会場は早くもピークのような盛り上がりを見せる。特に「世界には愛しかない」では志田愛佳と渡邉理佐がホースを使って客席に放水したほか、志田の合図で観客がジェット風船を空に向けて飛ばすなど、野外でしかできない演出で会場の一体感を高めていった。

 MCを挟んでから志田、菅井友香、守屋茜、渡辺梨加、渡邉からなるユニット“青空とMARRY”の「青空が違う」でライブが再開するのだが、今回のライブはこれまでと違ったポイントは、こういったユニット曲中に他のメンバーが観客を煽るために登場した点だろう。「青空が違う」では他のメンバーが巨大なバルーンを客席に投げ込んだり、FIVE CARDS(上村莉菜、長沢菜々香、土生瑞穂、 渡辺、 渡邉)の「僕たちの戦争」では水鉄砲を持った欅坂46の面々が観客やメンバーを濡らすなど、茶目っ気たっぷりの演出が用意された。

 かと思えば、平手はソロ曲「渋谷からPARCOが消えた日」で大型バイクの後方にまたがってステージに登場。この極端な緩急のつけ方も、野外ならではと言えるかもしれない。

 こういったユニット曲を経て、ステージに登場したのはけやき坂46。「ひらがなけやき」と「僕たちは付き合っている」の2曲を披露したのだが、そこには漢字欅の面々と引けを取らない、強い存在感とキラキラしたオーラ、そして堂々としたパフォーマンスで観る者を惹きつけた。その姿は有明や代々木、そしてZepp Tokyoでの単独公演で観たときよりも自信に満ちたもので、全国ツアーが彼女たちにとってどれだけ大きな手応えになっているかがひしひしと伝わってきた。

 けやき坂46のパフォーマンスで場の空気が和らいだところに、突然不穏なピアノの音色が流れ始める。それはそのまま、続く漢字欅による「大人は信じてくれない」の序章となっており、ここから再び会場の雰囲気が一変。続く「エキセントリック」とともに、ハードボイルドな世界観が展開された。ここでは特に、「大人は信じてくれない」のエンディングで見せた平手の鬼気迫る表情に、釘付けにされたファンも多かったのではないだろうか。

 再びMCを挟み、ライブ後半戦は長濱ねるのソロ曲「また会ってください」からスタート。漢字欅による「制服と太陽」、平手&長濱のユニット曲「微笑みが悲しい」と会場がほっこりした空気に包まれると、再び“青空とMARRY”が登場して「割れたスマホ」で場を盛り上げる。そこからダンストラックに乗せた漢字欅のソロダンスを経て「語るなら未来を…」、再び漢字欅&ひらがなけやきによるダンスコーナーに突入。ここでは鈴本美愉と齊藤京子によるダンスバトルもフィーチャーされ、アルバムで片鱗を見せた“漢字欅とひらがなけやきの融合”が具体的な形で提示された。そして、メンバー12人のソロダンスも取り入れたけやき坂46「誰よりも高く跳べ!」、漢字欅の面々が笑顔で歌う「手を繋いで帰ろうか」を2連発。さらに、ライブオープニングから引き続き、マーチング隊の衣装に着替えた面々がフラッグパフォーマンスを披露し、最後にひとりステージに残った平手の合図により無数もの花火が打ち上がったところで、ライブ本編は幕を下ろした。

 アンコールでは坂道AKB「誰のことを一番 愛してる?」の漢字欅バージョンという、予想外のナンバーをプレゼント。平手を中心にキレの良いダンスで観る者を引きつけると、そのまま「不協和音」へ突入。パフォーマンスを重ねるごとに強度を増していくその歌とダンスは、これまでに観た中でもベストと呼べるもので、平手や長濱による曲中の「僕は嫌だ!」のセリフには鳥肌すら立った。しかも曲終盤、平手の表情に目を向けると一瞬、ニヤリとしたように見えた……これこそ“曲に憑依する”平手の、そして「サイレントマジョリティー」から始まった欅坂46の真骨頂なのかもしれない。

 最後は漢字欅、ひらがなけやき総勢30名がステージに揃い、「W-KEYAKIZAKAの詩」でエンディング。2時間以上にわたる初野外ワンマンライブは大成功のうちに終了した……ように見えた。そう、前日22日の公演はここで終了したのだが、この日はさらにアンコールを求めるファンに対し、漢字欅の面々が再登場。ここまで一切MCに加わらなかった平手が「欅坂46は今年、初の全国ツアーを開催します。欅坂46のパワーを皆さんにお届けたいと思いますので、ぜひ遊びに来てください! 今日は初めて、この曲を皆さんの前で披露したいと思います」と告げると、アルバム『真っ白なものは汚したくなる』収録の新曲「危なっかしい計画」をライブ初披露した。サビでタオルを用いたこの曲は、まさに夏の野外ライブにぴったりな振り付けで、メンバーは笑顔でこの新曲を楽しんだ。それは「不協和音」で完全燃焼したように見えた平手も同様だった。曲を終えたメンバーは手をつなぎ、平手の合図で肉声にて挨拶をしてから、ステージを去っていった。

 全国アリーナツアーの前哨戦としては十分すぎるくらいボリューミーな内容だった今回の野外ライブ。今泉および“ゆいちゃんず”の不在をメンバー全員でカバーし、けやき坂46は“欅坂46のアンダー”なんて言わせないくらいの存在感と実力を提示した。また、屋外でも「大人は信じてくれない」などの楽曲はしっかり機能することも証明してくれた。改めて、欅坂46は1年前の夏、初めて『TOKYO IDOL FESTIVAL』に出演した頃からかなりかけ離れた場所にたどり着いたのだなと実感させられた。

 ただ、気になる点もいくつかある。フルメンバーではないことも影響してか、アルバムからの新曲が「危なっかしい計画」のみだったこと。アルバム発売直後だっただけに、新曲をたっぷり聴けると信じていたファンは筆者のみならず多かったはずだ。これに関しては、8月からの全国ツアーまで持ち越しということで、現時点での評価は避けることにする。

 とはいえ、「危なっかしい計画」1曲が加わるだけで、ここまでライブの雰囲気が変わるかと驚かされたのも事実。最近メンバーにインタビューした際、この曲はツアーのみならず夏フェスでも重宝するキラーチューンになるのではと発言していたことが印象に残っていたが、まさしくそういう重要な1曲になることだろう。

 他にもMCの拙さなど気になる点はあったが、場数次第でどんどん変わっていくはずだ。かつて、彼女たちの先輩である乃木坂46もそうであったように。

 欅坂46はまだまだ面白くなる。アルバムを聴いたときも実感したが、この日のライブを観てその思いは確信に変わった。ツアーやロックフェス出演でどう進化していくのか、この8月は彼女たちから本当に目が離せそうにない。

■セットリスト
欅坂46 初野外ワンマンライブ『欅共和国 2017』
2017年7月23日(日)富士急ハイランド・コニファーフォレスト
00. Overture
01. サイレントマジョリティー
02. 世界には愛しかない
03. 二人セゾン
04. 青空が違う
05. 僕たちの戦争
06. 渋谷からPARCOが消えた日
07. ひらがなけやき
08. 僕たちは付き合っている
09. 大人は信じてくれない
10. エキセントリック
11. また会ってください
12. 制服と太陽
13. 微笑みが悲しい
14. 割れたスマホ
15. 語るなら未来を…
16. 誰よりも高く跳べ!
17. 手を繋いで帰ろうか
<アンコール>
18. 誰のことを一番 愛してる?
19. 不協和音
20. W-KEYAKIZAKAの詩
<ダブルアンコール>
21. 危なっかしい計画

西廣智一

最終更新:7/27(木) 12:29
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