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一流の社長には自分よりも優秀な部下がいる

7/27(木) 10:00配信

東洋経済オンライン

 『十八史略』に、「守成は創業より難(かた)し」という有名な話があります。ご承知の方も多いと思います。

 唐の太宗(たいそう)があるとき、近くに仕える家臣に「お前たちよ、国家の大業を始める創業と、その大業を守り抜いていく守成とでは、どちらが難しいだろうか」と問いかけます。すると、玄齢(げんれい)が「おそれながら、申し上げます。天下が乱れて秩序が整わないときは、多くの英雄たちが覇を競い、勝者が敗者を家臣にします。私は、創業のほうが難しいと思います」と答えます。すると、もうひとり魏徴(ぎちょう)が「いやいや、昔から帝王たちが天下を苦難の中から勝ち取るのですが、しだいに安楽に流れ怠ることが多く、せっかくの天下を失っております。ですから、私は守成のほうが難しいと存じます」と答えました。

■「守成は創業より難し」

 それぞれの説を聞いた太宗は、次のように言います。

 「玄齢は、私と一緒に天下を取るために、何度も死ぬような危険な目に遭いながら、かろうじて生き延びてきた。だから、創業の難しさを知っている。また、魏徴は、私と一緒に天下を治めるために、心おごってぜいたくになることは富貴から生まれ、世の災いや乱れは物事を疎かにするところから生まれてくることをつねに恐れている。だから、守成が難しいことを知っている」と、まあ、両者の顔を立てるようなことを言った後「とはいえ、創業の困難さは過ぎ去った。しかし、守成の困難は今から諸侯とともに疎かにしないようにしたいものである」と言いました。

 ここから「守成は創業より難し」という諺(ことわざ)が生まれます。簡単に言えば「新しく事業を起こすことよりも、その事業を受け継ぎ守り続け、発展させることのほうが難しい」ということです。

 確かに「創業」は、創業なりの難しさがあります。ときに全財産を賭け、ときに多額の借金をして、五里霧中の海に舟をこぎ出すのですから、それこそ清水の舞台から飛び降りるような勇気と度胸が必要でしょう。

 しかし、その創業は、いわば「点」です。一瞬といえば反論があるかもしれませんが、とにかく比較の上からするならば「守成」は「線」です。点を打つより定規もなく線を真っすぐに引くのが難しいのと同じで、経営を発展させ続ける「守成」は、相当に難しいことと考えるべきです。べンチャー、ベンチャーと草木もなびきますが、起業した後の「経営」をしっかりと勉強し、少なくとも起業と同時に「経営者としての意識、自覚」を持たなければならないでしょう。

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