ここから本文です

元財務官僚・高橋洋一氏は「森友学園問題」「加計学園問題」をどう分析するのか

7/27(木) 7:00配信

Book Bang

連日のように報道されている「森友学園問題」「加計学園問題」。一向に真相が明らかにされず、泥沼化の様相を呈しています。元財務官僚の高橋洋一さんは、その理由として日本の官僚とマスコミの問題が大きいといいます。高橋さんの最新著書『大手新聞・テレビが報道できない「官僚」の真実』から、その理由を見ていきましょう。

文科省の内部文書の実在が確認されたが──

 加計学園問題がなかなか収束しない。その理由は明確だ。追求する野党および報道するマスコミが、この問題を延々とミスリードし続けているからだ。

 巷で言われている加計学園問題をごくシンプルにまとめると、国家戦略特区に認定されている愛媛県今治市で、「加計学園」(岡山市)の獣医学部新設計画が認可されたのは、同学園の理事長が安倍首相の友人であるからだ、という疑惑である。

 野党やマスコミは、認可にあたって安倍首相の意向が働いた、あるいは、官僚が首相の意向を忖度したのではないかという、森友学園問題とまったく同じ切り口の追求をしているのだが、加計学園問題ではその有力な証拠として、文部科学省から流出したとされる文書を挙げている。

 この文書は、会議を記録したとおぼしき議事録風のメモの体裁となっている。加計学園の獣医学部新設について、内閣府の官僚が文部科学省の担当者に、「平成30年4月の開学を大前提にして欲しい」、「(これは)官邸の最高レベルが言っていること」、「総理のご意向だと聞いている」などと、伝えている様子が記録されているのだ。

 そして、文科省の内部調査により、この文書が複数の文科省の官僚に共有されていることが判明し、ますますその内容の信憑性が高まった(=首相が関与している可能性が高まった)として、野党やマスコミの追求がヒートアップしたわけである。

総理が意向を働かせる余地は皆無

 しかし、文書の実在が確認されたとしても、加計学園の獣医学部新設が認可されるまでの経緯を見れば、認可に「総理の意向」が働く余地は皆無であることが簡単にわかる。

 新設について議論が交わされたのは、国家戦略特区ワーキンググループや内閣の閣議の場である。新設を推進するのは内閣府および特区有識者委員の規制緩和推進派で、阻止をしたいのは文科省と農水省の既得権維持派だ。

 この議論の経緯は、議事録としてネット上で公開されており、ポイントとなるのは、以下の3つである。

1)2015年6月8日国家戦略特区ワーキンググループ議事録
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/kokusentoc_wg/hearing_s/150608_gijiyoushi_02.pdf

2)2015年6月29日閣議決定(文科省部分
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu22/siryo/__icsFiles/afieldfile/2015/09/02/1361479_14.pdf

3)2016年9月16日国家戦略特区ワーキンググループ議事録
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/kokusentoc_wg/h28/shouchou/160916_gijiyoushi_2.pdf

 各議事録を読むと、議論は規制緩和推進派の”完勝”となっている。しかも、この議事録は内閣府と文科省の双方が合意済みである。この点、内閣府がチェックしていない文科省文書とは証拠能力がまったく異なる。2015年6月に閣議決定では、獣医師の需要見通しを文科省の責任で2016年3月までに作ることが決まった。これは当然で、獣医師が足りていて獣医学部の新設が不要というなら、それを裏づける獣医師の需要見通しを示す”挙証責任”は許認可権のある文科省にあるからだ。挙証責任が文科省にあるのは、特区基本方針(2014年2月閣議決定)にも書かれている。しかし、期限の2016年3月になってもできず、半年後の9月になっても、文科省は需要見通しを出すことができず、事実上、議論が決着している。

 新設認可に至るまでの具体的な議論は、省庁の課長レベルと特区有識者委員で交わされている。問題の文科省の内部文書は、議論にほぼ決着が着いた2016年9月後半以降に作成されたとみられている。こうした経緯を踏まえれば、新設に関して総理の意向が働く余地はまったくないことがわかるだろう。

1/3ページ

最終更新:7/27(木) 7:00
Book Bang

記事提供社からのご案内(外部サイト)