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不登校の生徒は減少している、しかし問題は何も解決していない

7/28(金) 12:00配信

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◆不登校生徒数減少の裏側

  高校における不登校の生徒数が減ってきている。今年2月28日に文科省が発表した「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」(確定値)によれば、2015年度の不登校生徒数は4万9563人である。2004年度が6万7500人で、そこから年々減りつづけ、11年間で1万7937人も減少したことになる。
 これだけなら、不登校問題は解決しているようにおもえる。学校現場の努力で、不登校の生徒が減っているかのようにみえる。

 結論を急ぐ前に、もうひとつの資料に注目する必要がある。2016年12月22日に文科省が発表した、「学校基本調査」(確定値)だ。
 そこには、通信制課程の高校の学校数について次のように記されている。「学校数は244校(独立校104校、併置校140校)で、前年度より独立校は4校増加し、併置校は3校増加している」

 独立校とは通信制だけの高校で、併置校は通信制を併設している全日制などの学校のことだ。いずれにしても、数が増えている。少子化のなかで統廃合もすすむなかで、通信制は数を増やしているのだ。
 同資料には、通信制に籍を置く生徒数についても次のように書かれている。「生徒数は181031人(男子95813人、女子85218人)で、前年度より638人増加している」。学校の数だけでなく、生徒の数も増えているのだ。

 不登校の生徒が減ってきていることと、この通信の学校数と生徒数が増えていることに、どういう関係があるのか。ある通信制高校の教頭が、次のように説明した。
「通信制高校に通っている生徒の多くは、不登校だった子なんです」

◆根本的な問題は未解決のまま

 不登校の生徒が通信制に転校する。それで不登校生徒の数は減っているが、通信制に籍を置く生徒は増えている、ということになっているのだ。通信制が不登校の「受け皿」になっているために、表面的な不登校の数は減っていることになる。
「不登校の子たちも、やはり高卒の学歴は必要だと考えているようです。実際、うちの学校の卒業生の場合、5割が専門学校に、2割が大学に進学しています。就職は2割くらいです」

 不登校とはいえ、ドロップアウトしているわけではないのだ。自分の将来を真剣に考えている。そして、次のステップに必要な高卒資格をとるために通信制を選んでいる。では、なぜ不登校になったのか。教頭が説明する。
「大半は、いじめです。いじめにあって人間関係が嫌になったというか、怖くなってしまい、学校に行けなくなるようです」

 通信制の場合、決まった時間に決まった場所に行く必要はない。教室に通うシステムをとっている学校もあり、通ってくる子も少なくないという。それも強制ではないし、教室に来る時間も個人の意思に任されていることが多い。同じメンバーが顔をあわせる機会が少ないわけで、いじめも起きにくい。教頭は続けた。
「それだけに、いじめられた経験からきているコミュニケーションへの不安を解消できないままの子が多いようです。当校では、いろいろな行事を企画してコミュニケーションの力をつけられるように工夫はしているのですが、なかなか、うまくいきません。そのためか、進学しても就職しても、途中で辞めてしまう子が多いのも事実です。通信制の、いちばんの課題かもしれません」

 不登校の子が通信制に転校しても、すべての問題が解決するわけではない。不登校の生徒数が上辺では減っていても、なにも問題は解決されていない。この事実は、もっと真剣に論議される必要がある。

文/前屋 毅

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