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「引きこもり」長期高齢化の陰で

7/28(金) 11:06配信

nippon.com

1990年代後半に、若い世代の「引きこもり」が社会問題として表面化した。いま深刻さを増しているのは、統計に表れにくい40代以上の中高年の引きこもりの人たちを巡る問題だ。

高齢化の進む「引きこもり」

一般に「引きこもり」とは、他人や社会と関わりを持たず、自立・自活しないで長期間孤立 (厚生労働省の定義では6カ月以上) している人のことをいう。

2016年9月に内閣府が発表した引きこもりの調査(実施は15年12月)によると、15歳~39歳の引きこもりの人の数は全国で推計約54万人。引きこもりの期間は7年以上が約35%で最多だった。前回調査 (10年) から約15万減少したとされるが、まずこの数字には15歳未満の不登校児童や40歳以上の引きこもりの人の数は含まれていない。5年前の調査時に23.7%を占めていた35~39歳の人たちは調査から除外されているということだ。その上、数多くの引きこもりが医療や支援機関と関わることなく隠れるように暮らしている。

地域の引きこもりの実態を知るために、独自の調査を行った自治体もある。例えば17年5月に佐賀県が発表した調査によれば、県内で把握できた引きこもり644人のうち、40歳以上の中高年が全体の7割を超え、引きこもりの期間10年以上が36.0%を占めた。内閣府の調査には含まれない人たちも推計に加えれば、引きこもりに悩み苦しむ人は100万人以上いるはずである。

引きこもりが日本で注目されたのは1990年代後半からだが、その総数は依然として増加傾向にあると筆者は考えている。この国の医療や福祉は、必ずしも引きこもり問題の改善に成功していない。自分から医療や支援機関に足を運べる、比較的症状の軽いケースについては、治癒や改善に至ることが多い。しかし、長期間孤立する「重篤」なケースについては、その多くがあまり改善しないまま40代、50代と高齢化の一途にあるとみられる。長期引きこもり当事者を抱える家庭では、暴力沙汰が生じたり、家族全体の思考や感情が麻痺(まひ)したりして、状態を悪化させてしまうこともある。

厚生労働省などの調べでは、引きこもりの約3分の1に精神疾患(統合失調症やうつ病など)、3分の1に発達障害、さらに残りの3分の1にはパーソナリティー障害(性格や行動、思考に偏りがあるために自分自身と周囲が苦しむ状態で、さまざまなタイプがある)などがみられるという。原因はさまざまだが、学校や職場でいじめを受けたり、「ネグレクト」により十分な愛情やコミュニケーションの経験を家庭内で得られなかったりなど、一種の虐待を受けた当事者が少なくない。

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最終更新:7/28(金) 11:06
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