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オンラインでの犯罪は、専用の法ではなく「従来の法律」で裁かれる

7/28(金) 7:31配信

WIRED.jp

テキストメッセージを使って、ボーイフレンドに自殺するよう繰り返し促していた20歳の女性に、非故意故殺で有罪判決が下された。2006年に起きた同様の事件では無罪判決が下されていたが、「オンラインでの犯罪には専用の法が必要」という安直な考え方が修正される日が来たようだ。

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2017年6月、マサチューセッツ州裁判所は、2014年に自殺したボーイフレンドに対する非故意故殺で、20歳のミシェル・カーターに対して有罪の宣告を下した。カーターはボーイフレンドだったコンラッド・ロイに、自殺するようテキストメッセージで繰り返し促していたという。

米国自由人権協会(ACLU)はこの判決を非難している。彼らの主張は、この判決によって「言論の自由を損われる」とともに、これがテキストメッセージやソーシャルメディアなどのテクノロジーツールにおいて、米国憲法修正第1条に規定された「表現の自由」を脅かす新たな前例となる可能性があるというものだ。

だが法律の専門家たちは、カーターの犯罪は新しいものではなく、テキストメッセージとはほとんど関係がないのだと説明している。

今回の判決は、言論自体が犯罪であるとみなされ、他人の自殺においてある人物が何らかの役割を果たしたと法律が考えた場合に展開される、長い歴史のある判例に基づくものだというのが専門家たちの見解だ。そのような歴史を考慮すると、カーターとボーイフレンドのコミュニケーションがテキストメッセージで行われていたという事実は重要でなくなり、スマートフォン上での言論の自由ともあまり関連がないということになる。

「今回の件がニュースになったのは、テクノロジーが関係しているからです。しかし人間は、いままでも言葉を犯罪に利用してきました」と、言論と憲法を専門とするワシントン大学法科大学院のニール・リチャード教授は述べる。「人々は言葉を使用して犯罪を犯し、現在ではテクノロジーを使用してコミュニケーションをとります。従って人々は現在、テクノロジーを使って言葉で犯罪を行っているのです」

一方、カーターの弁護士を務めるジョセフ・カタルドは、CNNの記事のなかで、カーターのメッセージは憲法で保護される言論だと述べている。「カーターがロイに送ったテキストメッセージは言葉であり、行動ではありません。ロイは自ら命を絶ったのです。自殺するために必要な行動をすべて実行したのは、彼自身です」

『Hate Crimes in Cyberspace(サイバースペース内のヘイトクライム)』の著者であるダニエル・シトロンによると、明白に言論と関連している犯罪は21あるという。脅迫、ゆすり、犯罪幇助、教唆、共謀などだ。これらのうち、米国憲法修正第1条によって保護されているものはない。

「米国憲法修正第1条が家だとしたら、家の中の言論は保護されますが、脅迫はドアの中に入ることはできません。ゆすりや犯罪教唆も同様です」と、シトロンは説明している。つまり、すべての言論が、米国憲法修正第1条による周知の屋根によって守られているわけではないのだ。

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最終更新:7/28(金) 7:31
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