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ブレグジット後の清算機構(CCP)問題

7/28(金) 8:54配信

NRI研究員の時事解説

<要旨>

ブレグジットに関連して金融分野で英国とEU加盟国との間で大きな争点となっている問題が、現在ロンドンに多く位置しているユーロ建て取引の清算業務を行う清算機構(CCP)の監督及び設置場所の問題である。欧州委員会は、ブレグジット後に英国にある一部の重要なCCPは、ユーロ建て取り引き業務をEU域内に移すよう求めている。これに対してBOE(イングランド銀行)は、移転は、顧客のコストを高めると批判している。最終的には、ブレグジット後も、ユーロ建て取引をロンドンで行うCCOはロンドンに留まる一方、それに対してEUが一定の監視、監督を行うことを可能とする妥協案で決着する可能性が高いように思われるが、現時点では議論は全く収斂の兆しを見せていない。民間金融機関がどの程度のリソースを欧州大陸に移転させるかといったブレグジット対応の判断には、この清算機構(CCP)のロケーションの問題は大きな影響を与えるはずであり、この点から早期の解決が求められる。

ブレグジットに関わるユーロ建て取引の清算機構(CCP)の問題

ブレグジットに関連して、金融分野で英国とEUとの間で大きな争点となっているのが、現在ロンドンに多く位置しているユーロ建て取引の清算業務を行う清算機構(CCP)の監督及び設置場所の問題である。中央清算機関(CCP)とは、清算に参加する金融機関同士の金融取引によって発生する債権債務を引き受け、これを履行する金融市場インフラのことである(注1)。ブレグジット後にEU域外でユーロ建て取引の清算業務が行われ、EUがその監督権を失うことを強く警戒するEU側と、英国の監督下で引き続きロンドンで業務を行うことが効率的で良いと主張する英国側との対立が強まっている。

カーニーBOE(イングランド銀行)総裁の講演によれば(注2)、清算集中されている金利スワップのうち、ロンドンで行われているのは全通貨ベースで全体の90%、ユーロ建てでは実に98%に達するという。

2017年6月13日に欧州委員会は、清算機構(CCP)の監督強化に関する提案(注3)を公表した。ここでは、ブレグジット後の状況を視野に入れて、EU域外に位置するユーロ建て取引の清算業務を行う清算機構(CCP)のうち、重要なものは、EU域内の設立を義務付けるという、やや強硬な提案が示された。

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